普通の女の子になれないヒロインが愛したのはマシンだった

遊園地だけが心の拠り所の内向的で繊細な若い女性が、新しい巨大アトラクション「ジャンボ」に本気で恋してしまう。いわゆる“対物性愛”を題材にした作品。まるで『トランスフォーマー』のオーボットとのロマンスのごとき妄想シーンのファンタジックなときめきとは裏腹に、周囲から「頭がおかしい」「ふざけているのか」などと非難されながらも、ジャンボへの狂おしい愛と性の衝動に突き動かされていくヒロインの恋路は極めてシリアスだ。浮かび上がるのは、社会に押し付けられる「普通の女の子」になりたくてもなれない女性の孤独。その隙間を埋めてくれる存在がジャンボなのだ。「燃ゆる女の肖像」に続くノエミ・メルランの熱演も光る。