戦場で生き延びることを妨げるのは敵だけではない

戦場での生死を左右するのは、敵だけではない。まず、自分が所属する軍隊の中で生き延びなければならない。上官や同じ集団の兵士たちが不正を行うときも、もしもそれを不正だと主張すれば、自分が同僚から攻撃される。そんな異常な状況が、記録映画のようなタッチで描かれて、これが実話であることを際立せる。衝撃的な出来事が起きるときも、あえて、それがよくあることであるかように淡々と描き出す。不法行為をする上官や仲間達も単純な悪人には描かず、彼らの愛すべき一面も、それぞれの行動には理由があることも描いていく。そして異常な状況が、異常には見えなくなってしまいそうになる。その静かな恐ろしさがリアルに伝わってくる。