触感と色が物語を紡いでいく

2020年12月28日 平沢 薫 Swallow/スワロウ ★★★★★ ★★★★★

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Swallow/スワロウ

 映像が、触感によって物語を紡いでいく。その硬度、質感、色彩の織りなす世界の異様な美しさに息をのむ。主人公は、冷たく硬いガラス玉を摘んで、それを湿って柔らかい口の中に入れ、より暖かな体内の奥深くへと飲み込んでいく。そのガラス玉の硬さ、冷たさ、明るすぎる色彩は、主人公が無意識のうちに感じ取っている"現在の自分を取り巻く世界"の性質によく似ている。
 映画は、そんな主人公の目に映る世界を冷たい映像美で描きつつ、彼女がなぜ"異物"を飲み込まずにはいられないのかを少しずつ解き明かしていく謎解きミステリーにもなっている。その解明とともに、彼女が変わっていく。その静かな変貌もスリリングだ。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「日経エンタテインメント!」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」「Movie Walker」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:「獣の棲む家」@Netflixが、ゴーストハウス映画の変形版として見ても興味深い。アフリカからロンドンへ移民してきた夫婦が住むことになった家で怪異が起きるが、そこには夫婦の過去、彼らのルーツ、移民をめぐる現状が絡んでいるという現代的恐怖譚。

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