歴史に翻弄される人々の痛みと哀しみ

2020年12月25日 なかざわひでゆき この世界に残されて ★★★★★ ★★★★★

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この世界に残されて

 第二次大戦終結後のハンガリー。ホロコーストで家族を失った16歳の少女と42歳の男性医師が、お互いの心の傷を癒すかの如く惹かれあい、やがて親子の絆にも似たプラトニックな愛情で結ばれていく。といっても、2人の家族がどういう状況で亡くなったのか劇中では一切語られない。それはまるで、今を生きるため過去の記憶をシャットアウトしているかのようだ。少女に至っては両親がまだどこかで生きていると信じている…というより、そう自分に言い聞かせているのだろう。そんな2人のささやかな心の触れ合い。しかし、ソ連の支配が強まるに従って彼らの周囲には再び暗雲が立ち込める。歴史に翻弄される人間の痛みと哀しみを描いた秀作だ。

なかざわひでゆき

なかざわひでゆき

略歴:日本大学芸術学部映画学科卒、同学部大学院卒。映画・海外ドラマのライターとして、TVガイド誌やオンライン情報サイトなどを中心に幅広く執筆活動中。雑誌「スカパー!TVガイドBS+CS」(東京ニュース通信社刊)で15年続くコラム“映画女優LOVE”をはじめ各テレビガイド誌で特集記事やコラムを執筆。著書は「ホラー映画クロニクル」(扶桑社刊)、「アメリカンTVドラマ50年」(共同通信社刊)など。また、数多くの来日スターにインタビューしており、ハリウッドのスタジオや撮影現場へも毎年コンスタントに足を運んで取材をしている。特に海外ドラマの現地取材は本人も数え切れないほど(笑)。旧ソ連のモスクワ育ち。

近況:最近は今さらながらK-POPのボーイズバンドにドハマり中。一番の御贔屓はMCNDですが、NCTやTREASUREも大好き。もちろんBLACK PINKとかITZYとかEVERGLOWとかガールズにも夢中です。

サイト: http://eiga3mai.exblog.jp/

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