フェミニズムとアートの関係の「その先」

#MeToo以降との関連が意識された内容。20世紀まで賞賛されてきたセクシュアルな表現に新たな批評のメスが入り始めた時代。ならばH・ニュートンは、もうナシか? そこで彼と仕事した女性の側に直接意見を聞くコンセプトは、「政治的な正しさ」の徒な尖鋭化への解毒剤的なアンサーとなるだろう。
今は「ミューズ」との概念が搾取的として葬られようとしているが、本作は表現の現場で生まれるパワーゲーム的な関係を再定義する為のヒントも与えてくれる。炎上案件もむしろ「解釈する側」の思考や精神を強く映し出すことがよく判る。その点で男性優位も含め表現の多様性を捉える、I・ロッセリーニのフェアな分析には特に感銘を受けた。