地球危機の壮大な物語ながら、節度を極めた演出が効果的

『ゼロ・グラビティ』では宇宙で究極のヒロイズムを発揮したG・クルーニーが、今度は地上から宇宙船を救う役回りというだけで胸アツだが、監督としてのセンスも光る。2049年の地球の危機は派手に描かず、じんわり静かに、わずかにドッキリ描写を入れて恐怖を伝える。途切れ途切れの交信も含め、「あからさま」とは無縁。一人の博士の悲壮な決意と自己犠牲に、さまよう宇宙船のドラマに「集中」する作りが、観る側を没入させる。美しすぎる宇宙船の外観や、最先端システムと、ポイントのアクションへの力の入り方も好バランス。「感動」という点では、想像どおりと感じる人も、予期せぬ仕掛けで驚く人も、いずれも心にしみわたるレベルかと。