山あり谷あり人生にも希望があると思わせます

ペレストロイカが進むソ連でイスラエル移住が許可され、多くのユダヤ系ソ連人が移民したが、人生が一変した人ばかりだったろう。想像するだに切ない状況だが、声優夫婦を主人公とする本作はセンスのいいコメディに仕上っていて好感度大。さまざまな立場の移民の微妙な心境を巧みにすくい上げたE・ルーマン監督自身も移民と知って、納得だ。希望に胸を膨らませて移民したが、アイデンティティの危機に直面する声優夫婦を演じる役者の演技が素晴らしい。まさにベテランの技なり! V・フリードマンが演じる夫の不器用ぶりやちょっと古臭い映像はカウリスマキ作品を思わせるし、夫妻とフェリーニの関係など映画愛に満ち溢れている。