声優夫妻の映画への愛が世界を暖かくする

2020年12月14日 平沢 薫 声優夫婦の甘くない生活 ★★★★★ ★★★★★

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声優夫婦の甘くない生活

 さまざまな声を演じられるのに、自分の声を出す方法が分からない夫。ある声を使って架空の人物を演じるうちに、それを自分だと思ってしまう妻。声を自在に操る声優夫婦なのに、自分の本当の気持ちを声にするのが難しくて摩擦が起きる。そんな彼らが生きる世界はどこかユーモラスで暖かい。
 その世界をさらに暖かくするのが、声優夫婦の映画への愛。夫婦の信念は「吹替こそ映画への入り口」。夫は70年代ハリウッド映画のセリフを暗記している。外国映画が上映されないソ連でフェリーニ映画が上映された史実を踏まえて、フェリーニの遺作「ボイス・オブ・ムーン」が作中に登場。邦題もフェリーニの「甘い生活」へのオマージュになっている。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「日経エンタテインメント!」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」「Movie Walker」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:「獣の棲む家」@Netflixが、ゴーストハウス映画の変形版として見ても興味深い。アフリカからロンドンへ移民してきた夫婦が住むことになった家で怪異が起きるが、そこには夫婦の過去、彼らのルーツ、移民をめぐる現状が絡んでいるという現代的恐怖譚。

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