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バクラウ 地図から消された村 (2019):映画短評

バクラウ 地図から消された村 (2019)

2020年11月28日公開 131分

バクラウ 地図から消された村
(C) 2019 CINEMASCOPIO - SBS PRODUCTIONS - ARTE FRANCE CINEMA

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

くれい響

ひと狩り行こうぜ!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

カンヌ映画祭で、『パラサイト 半地下の家族』『レ・ミゼラブル』と競い合ったという触れ込みも妙に納得する、ただならぬ熱量を持っている。不穏な空気感に満ちた村に、クセが強いキャラが大渋滞。なかなかエンジンがかからないなか、「なぜ、全裸?」「なぜ、博物館?」「なぜ、クスリ?」と、脳内がパニック状態に。そして、「なぜ、スパンダー・バレエ「トゥルー」?」が流れるなかで、明らかに狂ってるソニア・ブラガとウド・キアが対峙。フィリオ監督はある意味、同展開な前作『アクエリアス』の舞台や狂気をアップデート。『ミッドサマー』×『ザ・ハント』な感触に、『七人の侍』もブチ込んだ攻めた社会派エンタメといえる。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

ネオ「シネマ・ノーヴォ」の闘い

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

血と暴力の寓話……というお約束のコードをぶち破る本気のサプライズ連発。インターネットのMAPに表示されない村で、破格の近未来像(「今から数年後」)が混沌と渦巻く。これはブラジル映画の伝説的金字塔、グラウベル・ローシャ監督の『アントニオ・ダス・モルテス』(1969年)の遙かな後継か? コミュニティの攻防。西部劇を軸とした超ジャンル的な前衛性と土着性。劇画的な残虐性で固められた映画のボディに、さらにエンタメ度を加算。おそらくは最初から「カテゴライズ不能」こそが主題だ。

バクラウとは鳥の名を指すらしいが、『異端の鳥』でお目に掛かったばかりのウド・キアが狂った傑作のアイコンのように、ここにも登場!

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

西部劇やスプラッタがごっちゃ煮になって刺激的

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 映画の雰囲気がどんどん変わっていくのが刺激的。のどかな辺境の村の話かと思っていると、UFOは飛ぶわ、殺人は起きるわ、どんどんとんでもない方向に話が転がっていく。西部劇あり、スプラッタあり、伝説あり、多彩な要素がごっちゃ煮に。音楽も同様で、文脈と関係なく突然鳴り出すうえに、古風な歌謡から電子音楽、さらにはジョン・カーペンターの楽曲まで、ギャップの大きい曲が隣に並ぶ。そのくせ、空の色がもの凄く、そのすごい色の空が何度も登場する。
 宣伝文句通り「血と暴力に彩られた現代の寓話」なのだが、この雑食性、あれもこれもが混在する状態こそが、現在の世界の様相を反映しているのかもしれない。

この短評にはネタバレを含んでいます
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