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ストックホルム・ケース (2018):映画短評

ストックホルム・ケース (2018)

2020年11月6日公開 92分

ストックホルム・ケース
(C) 2018 Bankdrama Film Ltd. & Chimney Group. All rights reserved.

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.1

山縣みどり

違和感が残ったまま、最後までノレず。

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

ストックホルム症候群の語源となった銀行強盗事件を映画化した実話もので、人質となった女性と犯人との間に生まれる感情に違和感を持った。犯人への好意は被害者にとっては生き残るためのサバイバル反応で、それ以上の感情が生まれるの? 違和感が残ったまま物語が進み、ノレないまま。強盗側も警察側も非常にのんびりしていて、サスペンスが感じられないどころか、「コメディ?」となる展開も余分な気がした。事件を再現した後に当事者の心理を分析する展開があったら納得できたかもしれないが、残念。E・ホークは人がいい感じで役にはまっているが、M・ストロングは持ち味を生かせずもったいなかった。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

いかにもジェイソン・ブラム製作らしい

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

「ノルマルム広場強盗事件」がモデルの映画化だけに、『狼たちの午後』ばりに殺伐した雰囲気かと思いきや、イーサン・ホークのいい人キャラがフルに生かされた、おとぼけ感満載のコメディであるサプライズ。フサフサ髪のマーク・ストロングとの掛け合いも、どこか微笑ましい。しかも、警察との攻防戦や犯人が人質とガチでデキてしまうなどの事実が描かれながら、ボブ・ディランの楽曲やスティーブ・マックイーンの『ブリット』など、時代設定を反映したオリジナルな小ネタも効いている。そんな映画ファンの心をくすぐる要素を集めながら、肝心の心理描写など、いろいろ薄味なのは、さすがはジェイソン・ブラム製作といえる。

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なかざわひでゆき

いつの間にか犯人を好きになってしまう異色の実録犯罪ドラマ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ストックホルム症候群の語源にもなった銀行強盗事件の映画化。’73年のスウェーデンはストックホルム、2人組の男が銀行強盗を企て、人質を取って立てこもるわけだが、この犯人たちというのがなんとも頼りない(?)お人好し。いつしか3人の人質は、犯人逮捕のメンツばかりを重んじて自分たちの安全を軽視する官僚的な市長や警察よりも、どこか憎めない犯人たちに感情移入して力を貸すようになる。観客も一緒になって「ストックホルム症候群」を疑似体験できるというのが本作のミソ。セリフが全て英語なのは違和感ありだが、しかし一触即発のムードに皮肉な風刺ユーモアを交えた語り口はなかなか面白い。

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斉藤 博昭

イーサンが犯人なら、こうなってしまうのもわかるよねー

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

凶悪な(はずの)犯人と、監禁された人質が仲良くなってしまうという、じつは往々にして起こる心理。しかし映画で描くには説得力が必要になるが、そこを一気に成功に近づけたのが、犯人役にイーサン・ホークをキャスティングした点。無計画で場当たり的。どこか人情にモロいキャラ設定。しかも犯人と人質の心が音楽のネタで近づくとあれば、イーサンの独壇場である。観ているこちらもいつしか人質の気分になって犯人に協力する気分に導かれる、というわけ。
舞台が1970年代なので、警察や銀行側の作戦・交渉もどこか牧歌的。その分、犯罪サスペンスとしてのドキドキ感は希薄だが、要所で衝撃と感動を仕掛ける演出のメリハリは効果的か。

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猿渡 由紀

イーサン・ホークは歳を取るごとに味わい深くなっていく

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

昔から魅力的だったけれども、イーサン・ホークは近年、ますます余裕のある、味わい深い役者になってきた。今作でも、彼が1番の見どころ。銀行強盗をする“悪い奴”ながら、人質にされた被害者までもがなぜか憎めないという、人間味あるキャラクターを絶妙に演じているのだ。ただ、それ以外がやや弱い。求めていたのであろうユーモアはあるものの、実際にあったこの事件は非常におもしろいのだから、もっと息を呑むような緊張感があっても良かった。またノオミ・ラパスのキャラクターの背景がもっとしっかり書かれていれば、家庭があるのにラース(ホーク)に惹かれていく彼女に、観客はもっと同情できただろう。

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相馬 学

こんな強盗犯なら人質になってもいい!?

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 犯罪者と人質の間に絆が芽生える、いわゆる“ストックホルム症候群”の語源となった実際の事件を映画化。銀行強盗を扱った多くの作品とは一風異なる味わいを持つ。

 面白いのは、やはり強盗犯のキャラクターで、ボブ・ディランの曲を口ずさみ、籠城するとなったら“ギターを持ってくればよかった”などとのたまう呑気っぷり。人を殺せない点はもちろん、無計画からくる油断や隙も人の好さを匂わせて、犯罪者でありながらも魅了される。

 主演のE・ホークは乱暴者で傍若無人だが親切な愛すべきバカ者になりきっており、持ち味の人間味を存分に発揮。だらしない犯人を、人質なのに助けてしまう銀行員にふんしたN・ラパスの好演も妙味。

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平沢 薫

あの心理学用語の元になった事件は本当はこうだった!?

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 心理学用語"ストックホルム症候群"は、監禁事件などの人質が「生き残るために無意識のうちに」犯人との間に共感や信頼関係を築くことだが、語源となった事件は別モノだった!?というのが本作。犯人があまりにマヌケでいい人なので、人質が本気で犯人を好きになってしまうのだ。そんな"事実は小説より奇なり"な事件を、1973年の北欧でスティーヴ・マックイーンの『ブリット』に憧れる男を主人公に、ボブ・ディランの曲満載でブラック・コメディに料理。ダメ男だが憎めない主人公役のホーク、彼にクラっとする真面目な銀行員役のラパス、主人公に親友扱いされて困惑する囚人役のマーク・ストロング、芸達者3人の共演ぶりも見もの。

この短評にはネタバレを含んでいます
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