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シカゴ7裁判 (2020):映画短評

シカゴ7裁判 (2020)

2020年10月16日公開 130分

シカゴ7裁判
Netflix映画『シカゴ7裁判』10月16日(金)より独占配信開始

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.5

なかざわひでゆき

52年前の不当な国策裁判にBLMの今を投影する

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ベトナム反戦や公民権運動の盛り上がる1968年に、シカゴで実際に起きた裁判とその背景を描く法廷ドラマ。民主党の党大会を取り囲む平和的な反戦デモが、警官隊の嫌がらせや挑発によって暴動へと発展してしまい、これを好機と見たニクソン政権が市民運動のリーダーたちを裁判で不穏分子に仕立て、反権力的な社会機運を封じ込めようと画策したわけだ。そこにトランプ政権下のBLM運動を投影していることは明らか。勝つためなら手段を選ばない卑劣な権力に対するリベラルの無力が浮き彫りにされ、力なき理想主義に力を与えるのは権力者の暴走を監視する市民の目であることを知らしめる。今の我々はその役目を本当に果たしているだろうか?

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

現代の映し鏡

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

アーロン・ソーキン監督による10年来の執念の企画。
大統領選挙に関わる騒乱の裁判と言うことで、なんとしても大統領選挙の今年に公開させたくて、Netflixとも組みました。
若手から、ベテランまで主演級、賞レースの常連が揃いました。
スリリングな法廷劇であり、ポリティカルサスペンスとしてもヒリヒリさせてくれます。
エモーショナルなラストシーンは忘れ難いものになりました。
1960年代の事柄ですが、現代のアメリカ社会の映し鏡と言える作品に仕上がっています。
賞レースに名乗りを上げる作品といっていいでしょう。世界が見てる。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

アーロン・ソーキン、監督として大きく成長

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

早口で畳みかけるような、役者にとって美味しい長いセリフは、ソーキンのトレードマーク。監督デビュー作「モリーズ・ゲーム」は、その“見せ場”のやりすぎで作り物っぽくなったが、今作ではそれがちょうど良い具合に生きている。前作より大規模で登場人物も多い作品を、焦点を失うことなく、感動的にまとめたのは見事。50年前の話を、「BLM」運動が起こり、トランプが「法と秩序」を叫んでは人々を抑圧しようとするこのタイミングで語ったのもすばらしい。司法のあり方を問うパワフルな傑作。余談だがエディ・レッドメインが演じるトム・ヘイデンはジェーン・フォンダの2番目の夫となる人である。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

2020年の今、作られるべき意味のあった傑作

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

基本的に法廷での裁判劇だが、冒頭から裁判官と被告人たちの妙に噛み合わないやりとりなどで、一筋縄でいなかい展開を予感。皮肉でユーモラスなセリフも随所に織りこみ、アーロン・ソーキンらしい脚本の妙に感心しまくり。そして要所で、証言を再現するリアリティ満点のシーン、および当時のモノクロのフッテージが的確に挿入され、判決へ向かう終盤、いかにも映画的演出だとわかっていながら、突き上がる感動に打ち震えた。
1960年代、ベトナム戦争派兵への反対が背景の実録ドラマながら、明らかに現在進行形の香港問題、アメリカのBLM運動、そして日本の政治と市民の関係まで重なってしまう。歴史を繰り返す人類の愚かさに慄然……。

この短評にはネタバレを含んでいます
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