あけすけで現実的な女性たちの世界にも隕石は落ちてくる。

2020年5月24日 ミルクマン斉藤 ニシノユキヒコの恋と冒険 ★★★★★ ★★★★★

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ニシノユキヒコの恋と冒険

井口奈己の映画は極めて本流のセックス・コメディだ。ヤるヤらないの話でなく、この世は本質的に男と女の闘争であるという意味で。しかし本作の「核」となるニシノはどうも実体がはっきりしない。彼自身は空洞であって、タイプの異なる錚々たる女性たちの内に眠った欲望をさらけ出す「装置」のような存在に過ぎないのだ。そんな彼女たちのセックスを、ニシノと肉体関係のない稀有な女性・阿川佐和子が、まだ男女の機微など判らぬ15歳の中村ゆりかに語り伝える、という構成が風のような男の妖精っぽさを増強し、摑みどころのない不定形ぶりをより強調する。風貌といい声質といいセクシーなのにどこか頼りない竹野内豊がニシノそのもの!

ミルクマン斉藤

ミルクマン斉藤

略歴:映画評論家。1963年京都生まれ。デザイン集団「groovisions」の、唯一デザインしないメンバー。現在、京都・東洞院蛸薬師下ルの「三三屋」でほぼ月イチ・トークライヴ「ミルクマン斉藤のすごい映画めんどくさい映画」を開催中。雑誌「テレビブロス」「ミーツ・リージョナル」「キネマ旬報」等で映画コラムを連載中。

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