虚と実のはざまを愉しむユーモア溢れる快作。

2020年5月24日 ミルクマン斉藤 トスカーナの贋作 ★★★★★ ★★★★★

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トスカーナの贋作

徹底的に「本物と贋物」についての認識論がつきまとう。トスカーナへ講演に訪れた英国人作家(普通の俳優以上に映画が似合う本職オペラ歌手、W.シメル)が、仏人女性(嫌味なくらいに映画女優なJ.ビノシュ)と出会い芸術的議論を闘わせながら恋に落ちていく…物語的にはそんな展開で始まるものの、ふと入ったカフェで夫婦と間違われてから亜空間へと突入。最初は夫婦ごっこしはじめたようにみえるが、次第に本当の夫婦でしか知り得ないような内容が混じりだしていくのだ。もちろん決着なんてつかない。つまりは「本物と贋物」「虚と実」の間にこそ映画は存る!というキアロスタミがイランで40年来試してきたことの延長線上なのだから。

ミルクマン斉藤

ミルクマン斉藤

略歴:映画評論家。1963年京都生まれ。デザイン集団「groovisions」の、唯一デザインしないメンバー。現在、京都・東洞院蛸薬師下ルの「三三屋」でほぼ月イチ・トークライヴ「ミルクマン斉藤のすごい映画めんどくさい映画」を開催中。雑誌「テレビブロス」「ミーツ・リージョナル」「キネマ旬報」等で映画コラムを連載中。

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