ロミオとジュリエット (2019):映画短評
ロミオとジュリエット (2019)原作以上に、ウエスト・サイド的な哀しみもある屋外に出たバレエ
主人公を演じた『キャッツ』では、その動き全体がCGっぽく見えてしまって残念だったF・ヘイワードが、超絶かつ優美を極めたバレエのテクニックを惜しげもなく披露。終盤は女優としての渾身の演技力もみせ、おなじみの物語にさらなる吸引力を与える。
バレエをセットで実写映画風に撮る試みは、ダンサーたちを遮る植物や建築、布などをあえて映像に取り込むことで、リアリティを加味することに成功。雨も降らせるし、決闘は生々しく、短いながらラブシーンも映画風。踊りながらの悲劇ということで、翻案の『ウエスト・サイド物語』に近い印象もあるし、1970年代のケン・ラッセル映画のような妖しき退廃美も感じられたのは、思わぬ収穫。
この短評にはネタバレを含んでいます