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影裏 (2020):映画短評

影裏 (2020)

2020年2月14日公開 134分

影裏
(C) 2020「影裏」製作委員会
くれい響

“歩く傷”が求める真実

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

ポン・ジュノ監督が『怒り』を観て、「すぐに泣きそうな“歩く傷”」と譬えた綾野剛が、やっぱり泣きそうに佇む。そして、松田龍平は妖しさと哀しさの二面性でスルリとかわし、中村倫也はいきなりシーンをかっさらう。100ページにも満たない原作の行間を読ませるように、淡々と展開し、134分の長尺を使っても、いろいろと観客に投げかける。そんな男たちの物語は、大友監督の『秘密 THE TOP SECRET』から、さらに踏み込んだ印象が強く、黒沢清監督作でおなじみの芦澤明子による撮影は、震災前後の不穏な空気を捉えながら、川釣りのシーンでは『リバー・ランズ・スルー・イット』ばりに眩い美しさを放つ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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