ADVERTISEMENT

マリッジ・ストーリー (2019):映画短評

マリッジ・ストーリー (2019)

2019年11月29日公開 136分

マリッジ・ストーリー
Netflix映画『マリッジ・ストーリー』独占配信中

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.4

相馬 学

ちょっとでいいから、気を遣え、気を!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ふたり以上の人間がひとつ屋根の下で暮らせば、気を遣わないなんてことはありえない。結婚生活も然り。気を遣わないことが当たり前になったときに何が起こるのかを、本作はシミュレートしてみせる。

 “わかってるだろ?”という意識が慣れ合いを生み、片方が慣れ合えなくなり、取り返しがつかなくなった果ての離婚訴訟。相手を思いやりながら築いてきた愛の軌跡が法廷では“貸し・借り”で切り刻まれる。そんな現実に、やりきれないものを覚えた。

 人間性をズタズタにする法制度の残酷さにゲンナリするも、それでも希望が見える点がいい。スカヨハもアダムも気持ちのわかるキャラになりきっており、じれったくも切なくて、温かい。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

ノア・バームバック監督の到達点

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

これまでも“男女の別れ”を描いてきたノア・バームバック監督の到達点といえる。どんな夫婦も元をただせば赤の他人、という話が嫌なほど描かれるが、画に描いたような夫婦喧嘩だけなく、相手の弁護士の選定を先読みする静かな戦いは興味深く、当人ポカーンな代理戦争には『アイリッシュマン』には欠場したレイ・リオッタも参戦。ランディ・ニューマンの劇伴が妙にあざとく感じるシーンもあるが、身長差29㎝のスカ・ヨハに頭上がらず、血まみれになった末、まさかの『ヤング・アダルト・ニューヨーク』のベン・スティラー化。その哀しみをミュージカル「カンパニー」の楽曲として歌い上げるアダム・ドライバーが愛おしい。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

現代の『クレイマー、クレイマー』

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーというMCUとスター・ウォーズという巨大なフランチャイズを支えている二人による離婚劇。
恋愛感情と結婚・夫婦の在り方の描かれ方は現代版にアップデートされた『クレイマー、クレイマー』と言える作品。
演劇の演出家と女優でもあるという夫婦の設定が、夫婦であると同時に作品を創り上げていく同志てもあるところがより二人の関係性を複雑にしていて、面白いスパイスになっています。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

男と女のすれ違いアルアルが満載!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ノア・バームバック監督が描く離婚ドラマ、しかも主人公は幼い息子を持つ(舞台)監督と女優の夫婦ってことで、おのずと彼自身の実体験(’15年にジェニファー・ジェイソン・リーと離婚)を下敷きにしているであろうことは想像に難くない。はじめはお互いスマートに別れるつもりだったが、しかし一旦話し合いが始まると相手への積年の不満が噴出、やがて泥沼の訴訟へと発展してしまう。男と女のすれ違いアルアルが満載で、思わず身に詰まされる観客も少なくないはず。そんな離婚バトルの先に見えてくる恋愛や結婚の理想と現実を、スクリューボール・コメディ・スタイルの軽やかなタッチで描く。歌まで披露するアダム・ドライバーが好演。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

痛いほどわかる2人の気持ち。今年最高の演技のひとつを目にする

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

それぞれの仕事の事情で別居を余儀なくされ、やがて離婚へ発展…と既視感のある物語が、全体の構成力、俳優の演技でここまで吸引力を得るとは!

長回しのショットによるスカーレットの感情の変化、終盤のアダムの「芸」は、ともにキャリア最高の輝きを放っている。冒頭で綴られる「相手の好きな部分」が、じわじわ効いてくる脚本も巧妙で、余韻深い結末を導く。

物語にしてはやや長尺だが、何気ない時間の流れが思わぬ感情移入をもたらすという、映画らしい効果が生まれた。ネトフリじゃなかったら、もう少し短く切られていたかもしれなく、ネトフリだからこその成功作と言えるかも。NYとLAのショービジネスの裏側も楽しめる。傑作。

この短評にはネタバレを含んでいます
ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

話題の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT