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楽園 (2019):映画短評

楽園 (2019)

2019年10月18日公開 129分

楽園
(C) 2019「楽園」製作委員会

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3

くれい響

ミステリーというより、日本特有の田舎ホラー

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

外国人に対する“魔女狩り”と、よそ者に対する“村八分”という、村社会の恐ろしさがダブルで襲い掛かる、まさに日本特有の田舎ホラー。かなり胸糞悪くなるが、さすがは瀬々敬久監督作。幅広い世代のキャストによる圧倒的な芝居と演出で、129分を魅せ切ってくれる(佐藤浩市による『復讐するは我にあり』オマージュもアツい!)。とはいえ、吉田修一原作の2本の短篇の組み合わせに、かなりムリがあり、噛み合いそうで、やっぱり噛み合っていないのも事実。しかも、ミステリーとして観ると、かなり曖昧な仕上がりのため、そのモヤモヤさは増長していく。そのため、濃厚なヒューマン・ドラマとして観るのがベターだろう。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

想像力を刺激する、吉田修一原作の登場人物たち

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

『悪人』『怒り』、横道世之介と周囲の人々など、つかみどころのなさも魅力の吉田修一作品は、長編ではその魅力がじっくり醸成される快感があり、映画化作品もそのじっくり感が成功していた。今回の場合は短編で、原作自体、人物の真意がわかりづらい部分があり、想像力を刺激するのは短編ならでは。映画化でも綾野剛や佐藤浩市の役が言い知れぬ苦しみと不安を爆発させ、やはり観る者に想像力を要求するが、生身の俳優が熱演すればするほど、真意が届かないもどかしさを感じた。実力派がキャリア最高レベルの熱演を見せつつ、映画の中で空転する状況は否めない。吉田修一作品の人物描写の難しさを実感するうえで、ファンにとって必見ではある。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

焼き付けられた“不穏”

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

僅かに掛け違われてた感情のボタンが生み出す“不穏”な空気の映画。
吉田修一作品に共通する空気感を瀬々敬久監督と言う最適な表現者を得たことで、目の前で破裂寸前の風船を見ているような、どうしようもない緊張感がピリピリと張りつめます。
終盤に立て続けに描かれる破滅と真相がもたらす悲しさが後を引きます。
新作が続く綾野剛、佐藤浩市の二人の見せる“揺らぎ”と”脆さ”に気が付けば、見る側にも得体の知れない不安を抱かせます。

この短評にはネタバレを含んでいます
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