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人間失格 太宰治と3人の女たち (2019):映画短評

人間失格 太宰治と3人の女たち (2019)

2019年9月13日公開 120分

人間失格 太宰治と3人の女たち
(C) 2019『人間失格』製作委員会

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.3

なかざわひでゆき

目眩くような映像美と艶めくような愛の戯れ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 太宰治が『人間失格』を書き上げるまでに至った出来事とその後の顛末を、スキャンダラスな女性関係を中心として描いていくわけだが、これはあくまでも実話からインスパイアされたファンタジーとして見るべきであろう。蜷川実花監督ならではのケバケバしい極彩色に彩られたパラレルワールド的な昭和レトロの異世界を舞台に、小栗旬と蜷川監督によって作り上げられた悩めるダメ男・太宰治と、したたかで逞しい3人の美女たちが、時に情けなくも微笑ましく人間臭い愛と憎しみの狂騒劇を繰り広げていく。その目眩くように洗練された鮮やかな映像美と、美男美女の艶めくような愛の戯れを堪能したい。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

3人の女がそれぞれに強く美しい

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 主人公は美しい花のような3人の女たち。たまたま彼女たちの相手は有名な小説家だがそこにあまり意味はなく、男女関係に問題がある男との恋愛という普遍的モチーフに、時代や文壇という風味が加えられ、3人の女が同じ男を相手にそれぞれの愛し方を実践する物語が描かれていく。
 ポイントは、3人を何かの犠牲者や被害者として描かず、自分の意思を明確に持ち、それに沿って行動し、その結果を引き受けた人間として描くところ。その視点が"現在"ならでは。「ヘルタースケルター」の監督・蜷川実花、「紙の月」の脚本家・早船歌江子が、3人の女たちを、現代女性の視点から見て共感でき、それぞれ別の魅力を持つ人物として描き出している。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

目の保養として最適

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

9年前の“生田斗真版”は小説そのものの映画化だったが、プライベートでも仲良し、「イケパラ」繋がりでもある“小栗旬版”は太宰が小説を執筆するまでの物語。蜷川実花監督の過去作同様、豪華キャストを独特の極彩色で魅せ、そのポップ感とたくましく描かれる女性キャラから、目の保養としては最適だ。蜷川幸雄チルドレンで、かつてのプレイボーイイメージも強い小栗旬だが、彼なりの太宰像を演じ、決してミスキャストと言い切れない。ただ、女好きという以外、太宰の本質には迫っておらず、どうもカタルシスに欠けている。そんななか、わずかな出演シーンながら、高良健吾主演による三島由紀夫の半生が観たくなる。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

極彩色の宴の終わり

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

日本文学史きっての人気者・太宰治。どこを切り取っても過剰なまでにドラマティックなその生涯。そこで蜷川実花監督は思い切って戦後期(=最後の時)だけを描きました。もはや破滅への道を転がり落ちることが避けられない太宰の最期の狂騒を蜷川監督らしい極彩色の画作りで描きます。ヴィヨンの妻こと太宰夫人の宮沢りえと坂口安吾の藤原竜也の場面をさらっていくところも心地よいです。『Dinerダイナー』に続く蜷川幸雄チルドレンの競作映画でもあります。

この短評にはネタバレを含んでいます
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