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永遠に僕のもの (2018):映画短評

永遠に僕のもの (2018)

2019年8月16日公開 115分

永遠に僕のもの
(C) 2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A / UNDERGROUND PRODUCCIONES / EL DESEO

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.3

くれい響

アルモドバル製作、大いに納得!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

天使の顔した美少年殺人鬼・カルリートスはバイクを飛ばし、ダンスも踊るが、意外と展開は淡々としている。つまり、アルゼンチンでホントにあった犯罪史というより、無軌道な若者の青春映画として、カルリートスになりきったロレンソ・フェロを愛でるアイドル映画として観るのがベターだ。しかも、BL風展開に、『エル・クラン』のカメラマンによる撮影、国民的バンドの楽曲のセンス良き使い方など、製作にペドロ・アルモドバルがクレジットされているのも納得のオサレ感。そんななか、主人公を悪の道に導く同級生のオヤジの初登場シーンに唖然! ヨコチンならぬハミキン映画として、語り継がれるだろう。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

外見にだまされてはいけないってことですね

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

17歳の少年の殺人遊戯にBL風味が加わり、実話インスパイアものとしては独特な味わい。犯罪の内容もさることながら、犯人が美少年だった上に罪悪感を一切持たなかったという事実に世界がざわめいたという時代感も伝わってくる。知りもしない時代と場所なのにノスタルジーを感じさせる美術や衣装、撮影が素晴らしい。外見で判断しがちなティーン女子にぜひとも見て欲しいのだが、主演俳優L・フェロの美貌に関しては好き嫌いが分かれるところだろう。南米のレオ様って言い過ぎでは? 彼と組む犯罪者のおっさんたちのチンピラ感と相まって、カートゥーン的な雰囲気も醸し出している。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

音楽+映像で、今年最も心が震えたシーンも

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

犯罪をおかすことに躊躇しない美少年とか、男同士の愛とジェラシーとか、そのあたりは期待どおりのビジュアルと展開。「世界は泥棒と芸術家のもの」とセリフが示すように、歯止めの効かない欲望とバイオレンスが破滅の運命を導くのも想定内だ。

ただこの映画、何ヶ所か陶酔の極みに浸る瞬間が。ひとつは、ラスト。そしてもうひとつは、名曲「朝日のあたる家」が流れるなか、後戻りできない地点まで来た寂寞感と、それすら気づかない主人公の哀れが映し出されるシーン。同曲の日本語版「朝日楼」、ちあきなおみの歴史に残る熱唱(YouTubeで是非!)。その洗練と泥臭さの究極の交わりが時を超えてつながった。音楽とテーマの奇跡の遭遇。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

思春期の残酷な衝動を描いた異色の青春犯罪ドラマ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 天使のように美しい顔立ちと愛くるしい微笑みで他人を欺き惑わせ、窃盗や強盗はおろか殺人にまで手を染めていく17歳の少年。’70年代のアルゼンチンを騒然とさせた、実在の連続殺人鬼がモデルだ。元ネタとなった少年は凶悪なサイコパスだったらしいが、本作の主人公カルリートスは人間的にまだ未完成で不安定な普通の高校生。そんな彼が犯罪に強く魅せられ、次第に感覚が麻痺して堕ちていく姿を通して、思春期の若者に特有の残酷な衝動が描かれていく。やはり最大の収穫は主演の新人ロレンソ・フェロ。美しくも妖しい瞳と厚みのある艶めかしい唇は、危険なまでに官能的な魅力を発散する。これまでになかったタイプの美少年スターだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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