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ゴジラ キング・オブ・モンスターズ (2019):映画短評

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ (2019)

2019年5月31日公開 132分

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
(C) 2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

猿渡 由紀

脇までしっかり考えたキャスティングの勝利

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

地球の“自然なバランス”に触れるこの映画は、作品そのものもなかなかバランスがいい。怪獣同士の戦いが目当ての観客も、人間ドラマが見たいと思う人も、ちゃんと考えた作りになっているのだ。もちろん、深いドラマになっているとは言えないが、同じ目的を持つのにアプローチで対立する人々の姿や、人間が犯してきた環境への罪というテーマには、説得力がある。最も優れているのはキャスティング。トーマス・ミドルディッチ、オシェア・ジャクソン・Jr.、アンソニー・ラモスなど、いるだけで明るい雰囲気を作る役者を脇に散りばめたのは大正解だ。日本版へのオマージュ、次に来るコングとの“共演”へのつなげかたも、無理がない。

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くれい響

さらば、わが友

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

オリジナルを踏襲した怪獣の登場シーンや、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』も「平成ガメラ」も徹底研究したと思われる陸・海・空を舞台にしたバトルに高まる。恐ろしいぐらい感情移入できない家族ゲンカなど、ドラマパートの詰めの甘さはあるものの、妙に説得力が増したサリー・ホーキンスの連投はやっぱり嬉しいし、今月2本目“モンスター”との共生を語るケン・ワタナベは見せ場たっぷり。そして、“HIM SELF”に始まるエンドクレジットに胸アツ。同じオタ監督が撮ったレジェンダリー作品でも、『パシフィック・リム:アップライジング』と違い、ファンが観たいものをしっかり把握している続編だ。

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清水 節

平成ガメラも吸収した「ギドラ襲来/四大怪獣 地球最大の決戦」

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

ゴジラ映画に何を求めるかで評価は変わる。ギャレスの前作は、放射能の惨禍を強調し原点回帰を図ったが、マイケルの本作は、VSシリーズの巨額アップデート版だ。人間と怪獣の描写が遊離することなく、科学者たちのスタンスの相違が、怪獣たちの行動原理に絡まり合う叙事詩的構造。キーワードは、怪獣災害トラウマ、生態系の守護神、鍵を握る少女。キングギドラ襲来の目的は、まるでレギオン。地球怪獣とは、古の巨神。そう、ゴジラシリーズ以上に平成ガメラシリーズをもまんまと呑み込みながら、ハリウッドが日本の怪獣文化に気合いを入れて向き合った娯楽超大作は、ドラマ性の追求よりも、東宝のキャラクター戦略に奉仕した作りともいえる。

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斉藤 博昭

怪獣を愛でればよいのだ

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

ギレルモの「パシリム」やギャレスの前作「GODZILLA」は怪獣映画の伝統に自身の方向性、現代感覚を必死に盛り込み、さらに『シン・ゴジラ』の斬新さを経て今作に向き合うと、古き佳き怪獣映画の伝統に忠実で、彼らを「見せる」ことへの徹底さを感じる。とくにラドンの火口からの飛翔など、めまいを覚えるほどにすばらしい。その分、人間たちの苦闘や家族の絆が装飾的なのは、意図的なのか。危機にありながら、どこかノホホンとしたやりとり、無神経な判断、大雑把な被害状況など、たしかにこれらも怪獣映画らしく「人間は無力」の皮肉ともとれる。怪獣への「高いリスペクト」と人間ドラマの「安さ」の落差は「パシリム」続編に近い印象。

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平沢 薫

怪獣が自らの力を誇るとき、その姿が美しい

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 キングギドラが身体の動きで自らの力を誇るとき、その威容が美しい。モスラがその力の真髄を発揮できる形態に変貌したことを示すとき、その姿勢が美しい。怪獣たちがそれぞれの形態と性質を発揮するさまが画面いっぱいに描かれて、見る者を魅了する。
 それと並行して、物語はいくつかの問いを投げかけてくる。自分が怪獣映画で見たいものは何なのか。自分は怪獣というものがどのような存在として描かれることを求めているのか。同じ世界を舞台に描く2014年の「GODZILLA ゴジラ」は、怪獣の生物としての側面も描いて新鮮だったが、今回はまた別の角度から怪獣が描かれて、怪獣映画をめぐる考察に新たな刺激を与えてくれる。

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相馬 学

あふれる怪獣愛が嬉しい待望の続編

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 子どもの頃から日本版『ゴジラ』シリーズを見てきたというドハティ監督らしく、オマージュ盛りだくさん。日本版の音楽を引用した怪獣たちの登場シーンのかっこよさからして思いの深さが感じられ、嬉しくなる。

 監督のゴジラ愛は渡辺謙ふんするセリザワ博士にも反映されており、物語のテーマに迫るセリフを言わせるなどの見せ場が。役柄的にも前作以上に重要で、V・ファーミガふんする女性科学者との思想的な対立の構図も面白い。

 群像劇らしく他のキャラも立っており、チャン・ツィイーやチャールズ・ダンスは2年後の『Godzilla vs. Kong』にも絡んできそう。次が楽しみになる、という点でも、よく出来た続編だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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