シネマトゥデイ

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家族の死に抗う心の彷徨を、見事に演じきった女優吉田羊の新境地

  • ハナレイ・ベイ
    ★★★★

     ハワイの海で死んだ一人息子。抗えない現実を受け入れられない母の歳月。村上春樹「東京奇譚集」の短編が、カウアイ島を舞台に松永大司の監督・脚本・編集と近藤龍人のキャメラ、そして吉田羊の好演によって見事に肉化された。淡々としているというよりも、余白と余韻が多い映画だ。若手男優の生硬な演技に不安に陥る瞬間もあるが、ハルキ文体に縛られることなく、原作になき出来事によって膨らませ、松永は静かに待ちつづけ、終盤に懸けている。ゴースト・ストーリーを浜辺の若者たちは口にするが、母の眼には見えないという残酷。喪失感に苛まれながらも毅然と生きようとする母の抑制が崩れ出し、ただひたすら彷徨う姿が激しく胸を打つ。

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清水 節

清水 節

略歴: 映画評論家・クリエイティブディレクター●映画.com、シネマトゥデイ、FLIX、ニッポン放送●「PREMIERE」「STARLOG」等で執筆・執筆、「Dramatic!」編集長、海外TVシリーズ「GALACTICA/ギャラクティカ」DVD企画制作●著書に「いつかギラギラする日 角川春樹の映画革命」「新潮新書 スター・ウォーズ学」●WOWOW「ノンフィクションW 撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画・構成・取材で国際エミー賞、ギャラクシー賞、民放連最優秀賞 受賞

近況: ●「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」劇場パンフ寄稿●「ULTRAMAN ARCHIVES」企画構成取材●「シド・ミード展」未来会議ブレーン、図録寄稿●ニッポン放送「八木亜希子LOVE&MELODY」

サイト: http://eiga.com/extra/shimizu/

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