東出2役の的確さと、理屈ではない本能の愛の怖さと…

2018年8月29日 斉藤 博昭 寝ても覚めても ★★★★★ ★★★★★

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寝ても覚めても

道に倒れ込んだままで愛を確かめ合うなど、とにかく理屈なく誰かを本気で好きになる感覚が静かにだが、全編に貫かれる。似た顔をしていたら、中身が違っていてもいいのか。それすら愚問に思えるほど、今作で描かれる愛は本能的だ。そして映画が終わった後、愛の深みが、新たな戦慄を喚起する。ちょっと懐かしい映画だが「ベティ・ブルー」が心に甦った。

この独特な後味を好例に、細部を的確にアレンジしつつも、余韻で引っ張る原作のイメージを巧みに映像化したと思う。濱口監督らしい、観客もその場にいるような錯覚をおぼえる会話シーンの演出、東出昌大の魅力をきれいに分割した2役など、多くの要素が作品にぴたりとハマった感がある。

斉藤 博昭

斉藤 博昭

略歴:1963年神奈川県藤沢市生まれ。高校時代は映画研究部に所属。1997年よりフリーランスのライターとして映画誌、女性誌、情報誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。得意ジャンルはアクション、ミュージカル。最も影響を受けているのはイギリス作品です。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。

近況:LAの『フェアウェル』ルル・ワン監督、ロンドンの『カセットテープ・ダイアリーズ』グリンダ・チャーダ監督に、Skypeインタビュー。ともに外出規制などある中、前向きに明るく話してくれて、一刻も早い日常生活の復活を祈るのみ。

サイト: https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohiroaki/

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