テロ被害者の苦悩に寄り添い、立ち直るまでのリアルな軌跡

2018年5月22日 清水 節 ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~ ★★★★★ ★★★★★

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ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~

 テロ被害を描く庶民のドラマは、とかく「団結」に向かいがちだが、ボストンマラソン爆弾テロ事件をモチーフとした本作は、別の道を行く。主人公は実在の人物。両脚の膝から下を失った彼は、欠点の多いごく普通の青年だが、事件渦中の目撃証言が犯人逮捕に貢献する。不自由を強いられる暮らしぶりやメディアに注視される葛藤に、キャメラはとことん寄り添い、ジェイク・ギレンホールの苦悩の演技が真に迫る。テロへの憎しみを煽ることなく、ナショナリズムを強化するわけでもない。身体にばかりでなく、心に深い傷を負った人間がなんとか立ち直り、打ちひしがれた多くの人々にとっての英雄としてのイコンを引き受けるまでの軌跡に、虚飾はない。

清水 節

清水 節

略歴:映画評論家・クリエイティブディレクター●映画.com、シネマトゥデイ、FLIX●「PREMIERE」「STARLOG」等で執筆・執筆、「Dramatic!」編集長、海外TVシリーズ「GALACTICA/ギャラクティカ」DVD企画制作●著書に「いつかギラギラする日 角川春樹の映画革命」「新潮新書 スター・ウォーズ学」●WOWOW「ノンフィクションW 撮影監督ハリー三村のヒロシマ」企画・構成・取材で国際エミー賞、ギャラクシー賞、民放連最優秀賞 受賞

近況:●円谷プロ「ULTRAMAN ARCHIVES」クリエイティブディレクター●「シド・ミード展」未来会議ブレーン、図録寄稿●ニッポン放送「八木亜希子LOVE&MELODY」

サイト: http://eiga.com/extra/shimizu/

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