決して、劇場以外では見ないでください!

2013年11月25日 森 直人 ゼロ・グラビティ ★★★★★ ★★★★★

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ゼロ・グラビティ

まず断言。これは映画館で観なければ何の意味も効力もなし!! しかも絶対に3D、できればIMAXがおすすめ。逆にDVD発売やTV放映、ネット配信されると真価が誤解されるから、いっそ辞めたほうがいいのでは? その代わり劇場でずっと上映し続けて欲しい。

本作の技術的賛辞は他の識者の方々に任せるとして、特に筆者が感心したのは、宇宙空間と映画館を“暗闇”でつなげた発想。3D映像と客席空間を同化・連続させることで、まるでスクリーンのフレームが消滅したような立体視世界を疑似的に実現しているのだ。おかげで我々は作品の中にすっぽり包み込まれた気分になる。

かつて幻覚的な体感性をめざした『2001年宇宙の旅』、本格3D時代の扉を開けた『アバター』の先に立つ本作は、テクノロジーの進化が達成した「映画2.0」とでも呼ぶべき一本。だが同時にシンプルな視覚の驚きを志向する点で『列車の到着』や『月世界旅行』といった映画史の起源=“ゼロ地点”への回帰でもある。またドラマは簡素に凝縮されているが、S・ブロック演じるトラウマを抱えた宇宙飛行士の人生再生劇としても、一切無駄のない精度を備えていることを記しておきたい。

森 直人

森 直人

略歴:映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「メンズノンノ」「Numero TOKYO 」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。※illustrated by トチハラユミ画伯。

近況:YouTubeチャンネル『活弁シネマ倶楽部』でMC担当中。「SAVE THE CINEMA」の回配信中。5月22日より、諏訪敦彦監督(『風の電話』)の回を配信中。ほか、想田和弘監督(『精神0』)、深田晃司監督(『本気のしるし』)、豊島圭介監督(『三島由起夫vs東大全共闘』)、入江悠監督(『AI崩壊』)、タナダユキ監督(『ロマンスドール』)、岩井澤健治監督&大橋裕之さん(『音楽』)、片山慎三監督(『岬の兄妹』)と『パラサイト 半地下の家族』を語り尽くす特番、森達也監督&河村光庸プロデューサー(『i 新聞記者ドキュメント』)、小林啓一監督(『殺さない彼と死なない彼女』)、竹内洋介監督(『種をまく人』)、渡辺紘文監督&雄司さん(『普通は走り出す』など大田原愚豚舎の世界)、瀬々敬久監督(『楽園』)、今泉力哉監督(『アイネクライネナハトムジーク』)、二ノ宮隆太郎監督(『お嬢ちゃん』)、大森立嗣監督(『タロウのバカ』)、樋口尚文監督(『葬式の名人』)等々を配信中。アーカイブ動画は全ていつでも観れます。

サイト: https://morinao.blog.so-net.ne.jp/

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