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シン・ゴジラ (2016):映画短評

シン・ゴジラ (2016)

2016年7月29日公開 120分

シン・ゴジラ
(C) 2016 TOHO CO., LTD.

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.8

村松 健太郎

今こそ、見るべき

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

このゴジラは震災のメタファーですが、国家的な危機に直面する人々の物語でもあり、現在の日本と重なる部分も多い映画です。
確信犯的な情報量の多さは、繰り返し見ていくことで分かるようになっているので、サブスクで見返すのにぴったりな作品でもあります。
『ゴジラ』映画シリーズのDNAを受け継ぎつつも、この映画単体で完結している作品でもあるので、いきなり見ても問題はありません。
今現在の日本の姿と比べて見るのもよいでしょう。

この短評にはネタバレを含んでいます
ミルクマン斉藤

はたらくくるまの大奮闘に滂沱。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

新劇場版エヴァが未完のまま云うのもナンだが、こりゃ庵野秀明の総決算だ。徹底して人間が主役、国家の存亡を賭けたディスカッション・ドラマというべき作りは岡本喜八『日本のいちばん長い日』、そのすさまじいカット割りは庵野自身の『ラブ&ポップ』の発展系といえる(と思えば、なんと故・岡本監督が影の主役!)。現実社会との切り結びようはあくまでファースト・ゴジラを指向するが、オキシジェン・デストロイヤーのような虚構の最終兵器での決着を本作は選ばない。過酷な伊福部昭のスコアにトランペットがミスりながらも必死で喰らいつくオリジナル特撮映画音源の使用が示すように、どこまでも人間的な泥臭さにこそ痺れるのだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
中山 治美

風刺に笑い、散りばめられた愛にむせび泣く

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

痛快だ。
戦後日本を総括する皮肉の効いたセリフの数々。
絵空事だからと街ごとぶっ壊しても問題ナシ!核兵器使用もOK!とするハリウッド大作へのアンチテーゼに。
それを実力派俳優から、小規模ながら`15年を彩った『ローリング』らの俳優陣、映画監督までを引っ張り出し日本映画界総力戦で挑んでいる構図に心踊る。
中でもゴジラの存在を警告する生物学者に故・岡本喜八監督とは。
遺稿『アンドロイド』は、”隕石の当て逃げ事件で核が一斉に誘発。地球の人口の3分の2が吹っ飛んだ”というSFコメディだった。
こうした細部の仕掛けが深い余韻を与え、何度でも繰り返し見てその愛を確かめたくなる。とてつもない怪作の誕生だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

完全に真・マスターピース

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

庵野的には『シン・エヴァ』の前、樋口的には『進撃』から『巨神兵東京に現わる』を経ての本格コラボ…という文脈イメージは想定していたつもりだが、圧倒的なクオリティに驚嘆! まるで東宝ブランドと日本的技術の総力戦。適材適所の人員配置を組んで、日本の置かれた今日的問題に全力対応している。

無人の新幹線N700系など鉄道の用法にも感涙したが、肝は初代ゴジラへの距離感で、太平洋戦争から3.11以降まで正確に線を引こうとする意図が本作の知性と情念を支えている。「根拠なき楽観は禁物です」「避難とは住民の生活を根こそぎ捨てさせる事だ」(以下、中略)など名言連発。その意味でも「岡本喜八」という要はやはり大きい。

この短評にはネタバレを含んでいます
清水 節

ゴジラとエヴァを繋いで、日本の希望を新世代に託す成長の物語

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

出現のひねりに舌を巻き、畳みかける緻密な画に昂ぶり、新奇性あふれる攻防に瞠目して、新世代の可能性に希望を託す国民的映画に涙が滲んだ。無謬性の神話が招く最悪の事態。だが結束して対処せんとする日本的美徳。未曾有の災厄をモチーフに娯楽映画に変換した本多猪四郎の『ゴジラ』を3.11後Ver.にアップデートする。岡本喜八の反骨の魂を父に、ウルトラ世代の映像的記憶を血流に、エヴァという果実を経て、『太陽を盗んだ男』の聖地を最終決戦拠点とし、怪獣映画を日本土着の<危機管理エンターテインメント>に昇華。物量で圧するハリウッドに対しても、知恵と不眠不休で「この国はまだまだやれる」ことを庵野秀明は証明してみせた。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

主役はあくまでも日本政府

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

劇伴が流れぬまま、冒頭から専門用語満載なスピーディーな会話劇が延々続く。その後、鷺巣詩郎と伊福部昭の劇伴が交互に流れ、完全に庵野秀明総監督の策略にハマっていく。イーオンでのレッスン成果を発揮するエロい石原さとみや、限りなく小池百合子に近い余貴美子の防衛大臣、原一男、犬童一心、緒方明の学者トリオなど、インパクトあるキャラも登場するが、主役はあくまでも日本政府であり、フルCGゴジラも気にならない。平成『ガメラ』シリーズの呪縛に囚われるなか、震災を経た今こそできた災害対策シュミレーションであり、ゼーレばりの会議映画。例によって賛否分かれるだろうが、ハリウッド版への回答としては十分に成功だろう。

この短評にはネタバレを含んでいます
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