シネマトゥデイ

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「私」としてレイテ島の地獄を追体験する試み

  • 野火
    ★★★★★

    特異な戦争映画だ。本来は自撮り系じゃなく大作にしたかった――とは塚本晋也監督本人の弁だが、しかし結果論を承知で言うと、ミニマムな作りだからこそ「個的体験としての戦争」が高密度で捉えられたように思う。

    特に大岡昇平の原作は帰還した田村一等兵の手記という形で記述されているため、その主人公=「私」の中に塚本が潜り込んで、自分のやり方で生き直したような感触だ。市川崑版のオーソドックスなドラマ構築とは全く異なるからこそ、新たに作られた価値がある。

    熱帯のギラギラした原色の風景に、スプラッター的な人体破壊が重なる様はシュールな悪夢のよう。作品全体がトラウマティックな映像体として硬質に結晶している。

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森 直人

森 直人

略歴: 映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「TV Bros.」「メンズノンノ」「Numero TOKYO (Web)」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。※illustrated by トチハラユミ画伯。

近況: YouTube配信番組『活弁シネマ倶楽部』でMC担当中。8月30日より、田中征爾監督(『メランコリック』)の回を配信中。ほか、大崎章監督(『無限ファンデーション』)、安里麻里監督(『アンダー・ユア・ベッド』)、深田晃司監督(『よこがお』)、映画ジャーナリストの徐昊辰さん(2019年上半期映画興行について)、江口カン監督(『ザ・ファブル』)、長久允監督(『ウィーアーリトルゾンビーズ』)、工藤梨穂監督(『オーファンズ・ブルース』)、三宅唱監督(『ワイルドツアー』)、佐向大監督(『教誨師』)、片山慎三監督×松浦祐也さん×和田光沙さん(『岬の兄妹』チーム)、二宮健監督(『チワワちゃん』『疑惑とダンス』)、広瀬奈々子監督(『夜明け』)、緒方貴臣監督(『飢えたライオン』)、関根光才監督(『太陽の塔』『生きてるだけで、愛。』)等々を配信中。アーカイブ動画は全ていつでも観れます。

サイト: https://morinao.blog.so-net.ne.jp/

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