シネマトゥデイ

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「私」としてレイテ島の地獄を追体験する試み

  • 野火
    ★★★★★

    特異な戦争映画だ。本来は自撮り系じゃなく大作にしたかった――とは塚本晋也監督本人の弁だが、しかし結果論を承知で言うと、ミニマムな作りだからこそ「個的体験としての戦争」が高密度で捉えられたように思う。

    特に大岡昇平の原作は帰還した田村一等兵の手記という形で記述されているため、その主人公=「私」の中に塚本が潜り込んで、自分のやり方で生き直したような感触だ。市川崑版のオーソドックスなドラマ構築とは全く異なるからこそ、新たに作られた価値がある。

    熱帯のギラギラした原色の風景に、スプラッター的な人体破壊が重なる様はシュールな悪夢のよう。作品全体がトラウマティックな映像体として硬質に結晶している。

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森 直人

森 直人

略歴: 映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「TV Bros.」「メンズノンノ」「Numero TOKYO (Web)」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。※illustrated by トチハラユミ画伯。

近況: YouTubeチャンネル『活弁シネマ倶楽部』でMC担当中。2月14日より、入江悠監督(『AI崩壊』)の回を配信中。ほか、タナダユキ監督(『ロマンスドール』)、岩井澤健治監督&大橋裕之さん(『音楽』)、片山慎三監督(『岬の兄妹』)と『パラサイト 半地下の家族』を語り尽くす特番、森達也監督&河村光庸プロデューサー(『i 新聞記者ドキュメント』)、小林啓一監督(『殺さない彼と死なない彼女』)、竹内洋介監督(『種をまく人』)、渡辺紘文監督&雄司さん(『普通は走り出す』など大田原愚豚舎の世界)、瀬々敬久監督(『楽園』)、今泉力哉監督(『アイネクライネナハトムジーク』)、二ノ宮隆太郎監督(『お嬢ちゃん』)、大森立嗣監督(『タロウのバカ』)、樋口尚文監督(『葬式の名人』)等々を配信中。アーカイブ動画は全ていつでも観れます。

サイト: https://morinao.blog.so-net.ne.jp/

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