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ジブリ鈴木Pが明かす、ジブリ美術館初の公式写真集を実現させた不思議な縁

「ジブリ美術館ものがたり」実現の経緯を明かした鈴木敏夫プロデューサー
「ジブリ美術館ものがたり」実現の経緯を明かした鈴木敏夫プロデューサー

 7日、三鷹の森ジブリ美術館(東京・三鷹)の写真集「ジブリ美術館ものがたり」発売記念トークイベントが、渋谷のHMV&BOOKS SHIBUYA で行われ、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが、同美術館初となる公式写真集発売の経緯を明かした。この日は、撮影を担当したKanyadaと、映画監督の中川龍太郎も出席した。

貴重な展示がいっぱい「ジブリ美術館ものがたり写真展」フォトギャラリー

 「ジブリ美術館ものがたり」は、鈴木プロデューサーが、2018年に発表した初のノンフィクション小説「南の国のカンヤダ」で描いた、タイ人のシングルマザー、Kanyadaが、iPhoneで撮影した写真を中心に構成した写真集。トトロの受付、大きなネコバス、ロボット兵から、普段は撮影することのできない場所まで、館内の写真が豊富に収録されている。

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 もともと、鈴木プロデューサーの言葉とKanyadaの撮った写真を組み合わせた書籍を出版する企画があり、紆余曲折を経て、彼女がかつて美術館を撮影した写真を使った写真集を作る運びとなった。「美術館もかれこれ20年近くやってきて。実は公式の写真集が出ていないということを忘れていたんですよね」という鈴木プロデューサーは「そこでもう1個、事件があったんですよ」と振り返る。

 それは、ジブリ作品の製作委員会に参加してきた日本テレビの奥田誠治プロデューサー(現・松竹)の娘が、写真集の出版社に勤めていたということ。『千と千尋の神隠し』で主人公のモデルとなった女性でもあり、彼女の結婚祝いになることなど、さまざまな要因が重なったことから「これはもう納得せざるを得ない。Kanyadaの写真もジブリで評判が良かったし。あらゆる条件が揃ったということです」と明かした。

画像テキスト
撮影を手掛けたKanyada

 そんなKanyadaの写真について、鈴木プロデューサーは「ジブリ美術館は、プロのカメラマンが200人くらい撮ったんですけど、Kanyadaの写真はそのどれとも違っていた」と語る。ジブリ作品にはほとんど触れてこなかった彼女の写真は、ユニークなアングルの写真が多数そろった。「iPhoneをとんでもないところに置くんですよ。特徴はローアングル。すごい低いんですね。それから宮崎吾朗が、彼女の写真は光を意識していると指摘したんですね。iPhoneで撮る前にいじるのは光ですね。僕としては本当に面白い写真を撮ってくれた」と続けると、Kanyadaも「皆さん、写真を気に入ってくれてとてもうれしいです」と笑顔を見せた。

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 またトーク中には、鈴木プロデューサーが、現在ジブリ作品が日本・北米をのぞく世界190か国に向けてNetflixで配信されていることに対する、宮崎駿監督の反応について質問される一幕も。鈴木プロデューサーは「今、宮崎は(長編)映画を作っている最中なんですが、映画を作るのってすごく時間とお金がかかるんです。映画の製作費はこれで稼ぎます、と言ったら、それはしょうがないですよね。それと彼はパソコンもスマホも使わないので、デジタル配信といってもピンと来ない。そこを突いたんですね」と説明。そのうえで「配信で新たに映画が作られるというのは面白いなと思っているんです。今の映画が作らないものを、配信が作り始めている。映画を作る人間にとってもビデオ、DVDもそうだけど、配信も大事じゃないかなとそう思っています」と言及していた。

 hmv museumでは「ジブリ美術館ものがたり写真展」を19日まで実施中。写真集より抜粋した美術館内外の写真のパネル展示をはじめ、『天空の城ラピュタ』に登場する「要石」や「ロボット兵」のミニチュアフィギュア、鈴木プロデューサーの描き下ろしの書も展示している。会場内はすべて写真撮影が可能。(取材・文:壬生智裕)

写真集「ジブリ美術館ものがたり」は3月20日発売 価格:4,180円(税込み)

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