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塩野瑛久、人気キャラ生み出す秘密「のめり込む演技」で魅了

塩野瑛久
塩野瑛久

 映画『HiGH&LOW THE WORST』で鳳仙四天王の1人、小田島有剣を怪演し、一躍注目を浴びた俳優の塩野瑛久。公開が控える『貴族降臨 -PRINCE OF LEGEND-』では、三代目伝説の王子・朱雀奏(片寄涼太)の第一側近から、ドリー(白濱亜嵐)率いる貴族チームに寝返る久遠誠一郎を、妖しい魅力を漂わせながらクールに演じている。「役に入るとプライベートにも影響が出る」という塩野が、役へのアプローチについて語った。

美しい…塩野瑛久【ほか写真】

 本作は、EXILE HIRO がエグゼクティブプロデューサーを務める「PRINCE OF LEGEND」シリーズの劇場版第2弾。ドラマ「貴族誕生 -PRINCE OF LEGEND-」から物語が引き継がれ、一介の土木業者からナンバーワンホストに昇り詰めた安藤シンタロウことドリー率いるエレガントな貴族たちと、奏が率いる聖ブリリアント学園の王子たちによる“伝説”の称号をかけた空前の大バトルを活写する。

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片寄涼太、白濱亜嵐の人間性をリスペクト

塩野瑛久

 王子同士がヒロインをめぐり火花をちらした前作『PRINCE OF LEGEND』とは全く違う物語が展開し、最初は戸惑ったという塩野。

 「今回、僕は劇場版しか出演していないのですが、ドラマ版をテレビで観たときは、正直驚きました。ドリー率いる貴族チームが現れて、お酒がどんどん出てくるし、喧嘩もするし、ギラギラ色がものすごくて。また新しい『PRINCE OF LEGEND』のカタチが生まれるんだなと。劇場版では、冒頭から貴族メインの描写が続くのですが、いつもの王子チームが出てきたときは、なぜかホッとしました」と笑顔を見せる。

 前作では、第一側近として幼なじみの奏を支えた誠一郎だが、本作では、ドリー率いる貴族チームに寝返り、髪を金に染め、“ラファエル”という名で登場する。

 「誠一郎のなかでは、奏への忠誠心は変わらずあるけれど、彼のもとを立ち去り、裏切ってしまう……という難しい役どころ。ドリーにも惹かれる部分があるなかで、心の迷いや、ブレを見せてしまうと、本意を見抜かれてしまうので、誠一郎らしさを削ぎ落とし、挑発的なお芝居を心がけました」

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 同じく王子チームから貴族チームへ移ったダンス王子レッドこと天堂光輝(吉野北人)は心の葛藤に苦しむが、「彼との対比も意識した」というち密な演技は見どころだ。

塩野瑛久

 また、以前から「自分のなかにないものは演技に出せない」と語っていた塩野だが、誠一郎と共鳴し合う点については、「役と同じく、涼太くん、亜嵐くんを心の底でリスペクトしていること」だと強調する。
 
 「僕はかなり疑り深い性格ですが、一度信じると、一途になるところは誠一郎と似ているかもしれません。涼太くんについては、芝居に向き合う姿勢、主役としての心遣いを見ていたら、誠一郎と同じように『この人を支えたい』という気持ちになりました。亜嵐くんは、実は僕のデビュー作で共演しているんですが、『セリフもなかった僕を覚えているわけがない』と思っていたら、屈託のない笑顔で『久しぶり!』と声を掛けてくれて。GENERATIONSのライブを観に行ったとき、大勢観客がいるなかで、目を合わせてくれたときは本当にうれしかった。そういう経緯もあったので、今回、役に気持ちを落とし込むのは容易でした」

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私生活に影響が出るほど役にのめり込む

 2013年から放送された特撮ドラマ「獣電戦隊キョウリュウジャー」のキョウリュウグリーン/立風館ソウジ役で頭角を現した塩野。『HiGH&LOW THE WORST』では、並いる若手スターのなかで小田島有剣という役を際立たせ、舞台「里見八犬伝」では犬坂毛野役で女方を披露。本作でも忠誠と裏切りの狭間に生きる王子を熱演し、一人の役者として演技を追求するその姿勢は若手のなかでも群を抜く。「そう言っていただくとうれしいのですが、演技に対するアプローチは作品によって違うので、“これだ”という法則はないんですね……」と思考を巡らす。

 「例えば、『HiGH&LOW』や『PRINCE OF LEGEND』の場合は、この作品は一体どういう世界なのか、実際に画で観てみないとわからなかったので、誰よりも早く準備をして、別室のモニターを監督の横でずっと観ていました。そういう作業を積み重ねながら、その作品に合った“色”みたいなものを出していくというか。誠一郎の場合は、お芝居だけでなく姿勢や振る舞いもかなり気を付けていたので、普段から意識して生活していました。僕は現場でスイッチが入るタイプではないので、役に入るとプライベートにも影響を及ぼしてしまうこともあるんです」と明かした。

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 どんな俳優を目指しているのか? という質問に、塩野は照れながら、「これはインタビューでけっこう言っているのですが、『いい役者をなくしちゃったね』って、惜しまれながら死にたい」と即答。それは、裏を返せば、これから長い年月を掛けて「役者を極める」という覚悟の表れとも取れる。「もっともっとすばらしい作品に携わり、観た人たちが心震わされるものを提示していきたい。その結果として、何かの賞だったり、評価につながれば、スタッフみんなで喜びを分かち合えるからベストですよね」。人々から惜しまれる役者を目指して、塩野の快進撃が始まった。(取材・文:坂田正樹)

映画『貴族降臨 -PRINCE OF LEGEND-』は3月13日より全国公開

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