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村上龍原作&ミア・ワシコウスカ主演のサイコスリラー、監督が語る

映画『ピアーシング(原題)/ Piercing』の監督ニコラス・ペッシェ
映画『ピアーシング(原題)/ Piercing』の監督ニコラス・ペッシェ - Universal Pictures Content Group

 映画『アリス・イン・ワンダーランド』シリーズのミア・ワシコウスカと、テレビシリーズ「GIRLS/ガールズ」のクリストファー・アボット主演で、村上龍の小説「ピアッシング」を映画化した『ピアーシング(原題)/ Piercing』について、ニコラス・ペッシェ監督が、1月23日、電話インタビューに答えた。

【写真】来日時のミア・ワシコウスカ

 本作は、殺人衝動を抱える男と自殺願望のある女性の心理戦を描いたサイコスリラー。子供の頃に虐待を受けた過去から、生まれたばかりの子供にまで殺人衝動を抱くリード(クリストファー)は、ある日衝動を抑えきれず、殺す目的でホテルにコールガールを呼ぶ。しかし、現れたコールガールのジャッキー(ミア)には自殺願望があり……。映画『ジ・アイズ・オブ・マイ・マザー(原題)/ The Eyes of My Mother』のペッシェ監督がメガホンを取った。

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 村上龍の原作「ピアッシング」を映画化したことについて、ペッシェ監督は「僕の好きな三池崇史監督の映画『オーディション』がきっかけだったんだ。あの映画の原作が村上龍だったことで、彼の作品に興味を持ち、『ピアッシング』とも出会った。『ピアッシング』を気に入ったのは、どこか欧米のスリラー小説を揶揄(やゆ)するように描かれているところだね。80年代から90年代にかけて多くあったものの、現在はあまり見られないサイコ・セクシャル・スリラーに対して、独特の解釈をしているのも面白かったよ。古き良きジャンル映画の設定にしてあるところも良かったんだ」と映画化への経緯を語った。

 原作は1994年に出版されたが、劇中には古い固定電話やオーディオ・プレイヤーが映し出されていて、時代設定が明確ではない。時代やロケーションを意図的に曖昧(あいまい)にしたのだという。「原作を読んだときに衝撃を受けたのは、まるで寓話(ぐうわ)やおとぎ話のような要素があることだったんだ。原作の二人(リードとジャッキー)の関係性において、時代やロケーションは意味をなさないと思ったし、この二人の関係性だけに焦点を当てたかった。だから日本とアメリカの本来の売春の違いなどを前面に押し出すことはせず、あくまで孤独を感じるこの二人の考えや価値観を描きたかったんだ」

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 クリストファーのキャスティングについては「クリスは親しい友人の一人で、今作を手掛ける2、3年前から知り合いなんだ。これまで、ひげを生やしたり、体重を増やしたりして、ごくありふれたブルーカラーの役柄でキャスティングされることが多かったけれど、実生活ではかなりハンサムな映画スターの顔をしているんだよ。だから、これまでやったことのない役柄で起用したいと思ったんだ」一方、ミアについては「彼女が演じたジャッキーは、どんな女優にとっても非常にまれで独特な役柄だと思うんだ。でも、内気で、純粋な役柄を演じることの多いミアにとっては、特に独特だったんじゃないかな。既存の枠にとらわれない彼女を見てみたかったんだ」と起用の理由を明かした。

 観客の感情をもてあそぶような演出については「観客を一つのことしか考えられないように(演出で)導きながら、次第にずっとだまされていたことに気付かせる、そんな演出をしたんだ。観客が、映画内で何が起きているかを把握したと思ったら、実は把握できていなかったという設定が、僕にはとても面白かったよ。観客はずっと自分自身がまるで映画の一部であるように感じられるんだ。デヴィッド・リンチ監督のようだよね。彼は人々のムードや感情を操っていて、僕はそんな映像を捉えようと思っていたんだ」と憧れの監督の名を挙げながら説明した。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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