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『羅生門』も引き合いに!新たなゴッホ描いた鬼才、会見で自己流全開

第75回ベネチア国際映画祭

ジュリアン・シュナーベル監督とウィレム・デフォー
ジュリアン・シュナーベル監督とウィレム・デフォー - Daniele Venturelli / Getty Images

 現地時間3日、イタリアで開催中の第75回ベネチア国際映画祭で『アット・エターニティーズ・ゲイト(原題) / At Eternity’s Gate』の公式会見が行われ、ウィレム・デフォーマッツ・ミケルセン、メガホンを取ったジュリアン・シュナーベル監督らが出席。シュナーベル監督は1951年の同映画祭でグランプリの金獅子賞に輝いた黒澤明監督の『羅生門』も引き合いに出しながら、自己流全開で作品について語った。

【写真】ジュリアン・シュナーベルの監督デビュー作『バスキア』

 本作は画家としても活躍する『バスキア』などのシュナーベル監督が、オランダ出身の画家ゴッホの姿を描いた伝記ドラマだ。通常の記者会見では登壇者は席についてから司会者から紹介されるが、この作品では会見が始まる前にゴッホを演じた主演のデフォーのほか、“北欧の至宝”マッツ、プロデューサー、カメラマン、脚本家、エディターらが壇上に立ったままで整列。そしてシュナーベル監督がマイクを取り、感謝の思いを伝えながら全員を紹介した。

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 冒頭から自己流をつらぬいたシュナーベル監督は、本作の中でも自らの解釈を多用して新たなゴッホ像を作り上げている。会見では映画のストーリーと事実との相違についての質問が相次ぎ、最初はシーンについて解説していたシュナーベル監督だったが次第にエキサイトしてきたのか、日本が世界に誇る名作『羅生門』の名前も出しながら自分の考えを語った。

 「(細かい部分の事実との相違なんて)正直、私はどうだっていいと思っている。これは映画だ。新たな可能性を提示できるのも映画のいいところの一つだ。(事実との相違を)気にしないで楽しんで、この映画のことを好きになってくれるのは嬉しいことだ。そこにいつまでもこだわって映画を楽しめないのは残念なことだ。私はすべての歴史は嘘だと思っている。『羅生門』を観たことがあるなら、同じ出来事について5つの異なる話があることがわかるだろう」。

 ゴッホ役はデフォーしか考えられなかったとし、そのほかのキャラクターも第一候補の俳優をキャスティングできたと胸を張ったシュナーベル監督。会見の終盤に出た「ゴッホという人物の面白さについて教えてください」という記者からの質問に「それについては全部映画の中にある。むしろ私が言いたいことの全ては映画の中にある。(劇中のセリフを引用して)この映画が私だ。この場で言っていることは全部エキストラだ。私が言っていることはもはやどうでもいい。(映画が完成し)私はもうこの映画の観客なのだから」と返す一幕もあった。(編集部・海江田宗)

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