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アカデミー賞ノミネート監督、自身の過去作を振り返る

オスカーなるか!スティーヴ・ジェームズ監督
オスカーなるか!スティーヴ・ジェームズ監督

 伝説のドキュメンタリー映画『フープ・ドリームス』のスティーヴ・ジェームズ監督が、2月23日(現地時間)ニューヨークのMuseum of the Moving Image(米映像博物館)で、過去の作品を振り返った。

【作品写真】山形国際ドキュメンタリー映画祭で最優秀賞に輝いた『スティーヴィー』

 最新作『アバカス:スモール・イナフ・トゥ・ジェイル(原題)/ Abacus: Small Enough to Jail』が、第90回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にノミネートされたジェームズ監督は、1994年に『フープ・ドリームス』を手掛け、歴代ドキュメンタリー映画の興行記録を塗り替えて名をはせた(この記録は、マイケル・ムーアの『ボウリング・フォー・コロンバイン』まで破られなかった)。その後、世界で初めてナイキシューズを履いた伝説の長距離ランナー、スティーブ・プリフォンテーンさんを描いた『プリフォンテーン』、非行を繰り返す少年と家族の関係を監督自身の視点で捉えた映画『スティーヴィー』、アメリカを代表する映画批評家ロジャー・エバートさんを題材にした映画『ライフ・イットセルフ(原題)/ Life Itself』などを手掛けてきた。

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 キャリアの発端となった『フープ・ドリームス』についてジェームズ監督は、「大学院時代、気晴らしにバスケットをしていた時に思いついたアイデアなんだ。バスケットコートでの30分の短編を通して、スポーツと文化の融合を語るつもりで製作する予定だったんだけど、当時は今とは違って、スポーツ界のドキュメンタリーには、誰も資金を提供してくれなかったんだ。ようやく資金を集め、撮影用のバスケットコートを探していた時、ある若手バスケット選手のスカウトと出会ったんだ。僕は彼が(同作に出演している)アーサーをリクルートするのか気になってね。彼らを追い始めたことから全てが始まったんだ」と7年半にも及ぶ撮影が始まったきっかけを語った。その後ジェームズ監督は、伝説のNBA選手アイザイア・トーマスのイベントへの参加、別の若手選手との出会い、さらに大学への推薦入学プログラムを知って、本格的な撮影に入っていったそうだ。

 『スティーヴィー』は、ジェームズ監督が大学時代に少年の更生を助ける「ビッグ・ブラザー(兄役の制度)」となった、当時11歳の少年スティーヴィー・フィールディングの半生を描いたドキュメンタリー。「撮影当初は、スティーヴィーが10年経って、どうしているかを撮影する予定だったんだけど、なんと彼は性的虐待で訴えられていたんだ。製作資金の調達を開始すると、『フープ・ドリームス』の成功もあって、たいていの人は『これが次回作か。ぜひ見せてくれ』と言ってきたけれど、題材が題材なだけに、資金繰りは困難を極めたんだ」と当時を振り返った。また、監督にとっても、感情的に最も困難な映画製作になったと明かした。

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 映画『ライフ・イットセルフ(原題)』については、「ロジャーは素晴らしいドキュメンタリーの題材になるとプロデューサーから勧められたんだ。彼の自叙伝には、彼ががんで喉と顎の手術をして話せなくなったことや、過去の冒険談が記されていたよ。もし、彼の自叙伝の内容があまり良くなかったら、僕はおそらく手掛けていなかったと思うね」と語った。ジェームズ監督を長年評価してきたロジャーさんに、オマージュを捧げる形で同作は製作されたそうだ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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