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福山雅治主演×是枝裕和監督作、その難解さにベネチアで質問相次ぐ!

第74回ベネチア国際映画祭

ベネチアで記者会見に出席した是枝監督&福山雅治
ベネチアで記者会見に出席した是枝監督&福山雅治

 現地時間5日、第74回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品されている映画『三度目の殺人』の記者会見が行われ、是枝裕和監督、福山雅治広瀬すず役所広司、音楽を担当したイタリア人作曲家ルドヴィコ・エイナウディが出席。近年ホームドラマを描いてきた是枝監督が初めて挑んだ法廷サスペンスの難解さに、外国人記者から質問が相次いだ。

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 本作は、第66回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞作『そして父になる』の是枝監督と福山が再び組んだ法廷サスペンス。死刑が確実視されている殺人犯の弁護を引き受けた弁護士(福山)が、犯人(役所)と交流するうちに動機に疑念を抱くようになり、真実を知ろうとするさまを描く。

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 家族ドラマの名手としても知られている是枝監督だけに、サスペンスへの初挑戦に視線が集まる。「10年くらい人間ドラマを続けてきて、絵画で例えるなら、デッサンを描いてきたような感じですが、今回はやや視野を変えて、油絵を描くような。タッチを変えはしたんですけど、作品を書いている本人は変わらないので、そんなには変わっていないだろうとは思います」と是枝監督。

 是枝監督のラブコールを受けて音楽を担当したルドヴィゴが、本作のストーリーに黒澤明監督作『羅生門』との類似点を見出し、「登場人物のそれぞれの視点があり、真実が何かたどり着けない。そしてエンディングまで続く不気味さ」が気に入ったと語るように、本作の“答え”を求める質問が記者から相次ぐ。それに対し是枝監督は「答えがあるわけではないと思います。答えのない問いを作品を通して問うということが、映画にとって一番誠実な監督の態度だろうと思っているんです」と口を開く。

 「真実は一つかもしれないですけど。普通なら主人公がその真実にたどりつくと思うんですけど、今回は逆で、シンプルだと思った事件がどんどん複雑化するという逆のルートをたどって、それはあえて観客を煙に巻こうと思ったわけではなく、取材を通して出会った弁護士の方たちが、判決のあとに釈然としない感情が残るということをおっしゃっていて、そういうモヤモヤとした感情をお客さんにも感じてもらうという、チャレンジングかもしれないんですけど、そういう着地点を目指しました」と本作の意義を語った。

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 一方、『そして父になる』に続くタッグとなった福山は「是枝監督の映画作りの現場はすごく手作り感があるといますか、監督が脚本・編集をやられる。そういう工程を俳優として近くで見れるのはこのうえない贅沢でありまして、それと同時にすごく刺激を受ける現場です。是枝監督がどういう目線で日本の社会、人間を見つめているのか。それを知る機会を与えていただける、そしてそれを自分の表現にフィードバックできる環境なんです」と充実の撮影を振り返った。

 また、本作では各世代からの視点が取り入れられていることについて、被害者の娘を演じた広瀬は「10代の少女だからこそ見える、母親への思いとかを意識しました。すごく客観的に、お母さんが話す言葉を一字一句、聞き逃さないように、話を聞いたりしました」と役づくりについて明かし、ベテランの役所は「監督からは、嫌いな人を2、3人殺す練習をしたらどうですか……とは言われませんけど」と会場の笑いを取りつつ、「撮影の最終日までその脚本が変更になったりしましたが、それでも監督が私たち俳優をどの方向に導いてくださっているのか、手に取るようにわかっていたので、最後までたどり着きました」と是枝監督への深い信頼を見せた。本作は現地時間5日夕方より公式上映を迎える。(編集部・石神恵美子)

第74回ベネチア国際映画祭は現地時間9月9日まで開催
映画『三度目の殺人』は9月9日より全国公開

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