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クロサワ以上にアメリカで愛されている!?『ゴジラ』本多猪四郎監督のエピソードを大林宣彦監督が明かす

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大林宣彦監督
大林宣彦監督

 大林宣彦監督が、ニューヨークのジャパン・ソサエティーで行われたトークイベントに出席し、過去の作品や思い出などを語った。

【写真】大林宣彦監督『野のなななのか』

 映画やCMでの実験的なアプローチについて「10代のときに父から8ミリカメラをもらい、その頃の8ミリは、アマチュアのフィルムメイカー用でした。もしその当時、黒澤(明)監督や小津(安二郎)監督が野球を撮っていたら、ピッチャーが投げ、キャッチャーが受け、バッターが打ち、ボールが飛ぶシーンをクレーンショットで撮るでしょうが、そのようなシーンを8ミリで真似たら、アマチュアな撮り方になる。そこで、高い崖から、その下で待つグラブを持った友人に向けてカメラを回しながら8ミリを投げました。その出来上がった映像を観ると、ボールが空を飛んでいる映像に見えました。その映像は黒澤監督も小津監督もやっていなかった」と原点から新手法を見いだしていたようだ。

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 映画『時をかける少女』について「これは製作者、角川春樹の大作でした。大きな予算が用意されましたが、そのままの予算で撮ったら、普通の大作にしかなりません。でも僕は、スチールのカメラマンと二人だけでロケーションスカウトに行った際に、スチールカメラのフィルムの半分のサイズが、35ミリの1コマと同じだと感じたんです。そんなスチールの撮影が、映画にも使用できると思い、35ミリのプロのカメラを8ミリのように使いました。結局、通常の角川映画の10分の1の予算で製作し、普通の大作の20倍以上の収益になりました」と振り返った。

 友人である、映画『ゴジラ』の故・本多猪四郎監督について「僕がCMの撮影でハリウッドに行くと、後にルーカスフィルムに入る若い連中に、『もし、映画『ゴジラ』のオリジナルポスターをくれれば、君の作品のSFXをなんでもやる』と言われました。さらにマーティン・スコセッシ監督が、黒澤監督の映画『夢』のゴッホ役で来日したときには、撮影後すぐにメイクを落として、その場に居た本多監督のもとに駆け寄って二人で肩を組んで写真を撮りながら、本多監督に『実は僕はこのために日本に来た』と言っていました。そのくらい本多監督は黒澤監督以上にアメリカで愛されている監督です。でも日本では、たかが怪獣映画の監督なんです。映画にテーマ性を持たせすぎて、映画のうその中に込められた作家の哲学を読み取るという習慣が、残念ながら日本には少ないからです」と嘆いた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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