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大島渚監督、サンセバスチャン映画祭で特集上映 スペインの映画評論家が語るその魅力

第61回サンセバスチャン国際映画祭

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映画評論家キム・カサス氏
映画評論家キム・カサス氏

 第61回サンセバスチャン国際映画祭で開催された大島渚監督特集について、作品選定を担当したスペインの映画評論家キム・カサス氏が語った。

大島渚監督『愛のコリーダ』場面写真

 同映画祭では1998年に成瀬巳喜男監督特集を行っており、その成功を受けて再び日本映画界の名匠にスポットを当てたという。中でも映画祭ディレクターのホセ・ルイス・レボルディノス氏は「映画史において重要であり、かつスペインでこれまで紹介されてこなかった監督」として大島監督に着目したそう。

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 スペインにその名が届かなかったのには理由がある。大島監督が精力的に作品を発表した1960~1970年代はフランコ独裁政権下で、外国の作品を観ることは困難だったといい、これまでスペインで公開された大島作品は『戦場のメリークリスマス』(1983)や『マックス、モン・アムール』(1986)などの8本のみ。『悦楽』(1965)は、『愛のコリーダ』(1976)のヒット後にようやく公開されたという。

 カサス氏は「なので今回はテレビドキュメンタリーや初期の作品を中心に27作品をセレクションしました。個人的にもビジュアル面が斬新だった初期作品が好きですね。一方で遺作である『御法度』も、北野武監督の『座頭市』などのような、従来の時代劇と異なる視点を持っており、西洋人のわたしたちから見ても非常に興味深いものがある」と語る。

 連日鑑賞している観客の中には「取り上げてくれてありがとう」と特集自体を称賛する声の一方で、作品については「難解」という声があるのも事実だ。

 しかし、カサス氏は「ジャン=リュック・ゴダールもベルナルド・ベルトルッチも、どこか過去の巨匠たちにリスペクトをささげた映画作りをしているが、大島監督はむしろ過去を壊すことに挑み続けた人。そんな監督は他にはいないでしょう」と今なお色あせない大島監督の魅力を語った。

 大島渚監督特集は引き続き10月31日まで、スペイン・マドリードのフィルモテカ・エスパニョーラでも行われる。(取材・文:中山治美)

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