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宮崎駿『風立ちぬ』金獅子賞なるか?現地批評を分析

第70回ベネチア国際映画祭

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イタリア紙も異例も異例の一面で報道 - 一般紙「コリエレ・デラ・セーラ」より
イタリア紙も異例も異例の一面で報道 - 一般紙「コリエレ・デラ・セーラ」より

 第70回ベネチア国際映画祭で発表された宮崎駿監督の引退は、現地時間2日付のイタリア各紙でも大きく報じられた。中でも一般紙「コリエレ・デラ・セーラ」は異例の一面で報道。中面でも引退発表の内容と映画『風立ちぬ』の紹介に1ページ半を割き、新作映画『キル・ユア・ダーリンズ(原題) / Kill Your Darlings』でベネチア入りした人気俳優ダニエル・ラドクリフよりも扱いが大きかった。

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 この日はまた、星取り表や映画評なども出そろった。映画祭期間中無料配布される情報誌「CIAK」の星取り表(最高5つ星)では、批評家による評価は2つ~5つと賛否が分かれたが、一般客の評価はおおむね3つ半とほぼ平均点。中には一般紙「イル・ガゼッティーノ」のように、宮崎監督の変わらぬ技術の高さを賞賛しつつも「主人公・二郎と菜穂子のラブストーリーが長く、ゼロ戦のプロジェクトについては説明不足」という厳しい意見もある。

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 しかしその一方で、美しい飛行機を作りたいという夢にまい進する二郎の姿と、指摘された菜穂子との純愛が、コンペティション部門の一服の清涼剤となっているのも事実だ。

 今年のコンペ部門の作品は、例年にも増して家族間の乱れた性に、ドメスティックバイオレンス、若者の無軌道な殺人など、スクリーンの中では連日、凄惨(せいさん)な事件が勃発しており、記者たちを憂鬱(ゆううつ)にさせている。それだけに、健全で躍動感ある『風立ちぬ』の印象は強く、前述の「CIAK」ではすでに上映された10作(コンペ作は全20作)の中で、スティーヴン・フリアーズ監督作『あなたを抱きしめる日まで』(来年3月日本公開)に続いて評価が高い。

 もっとも、賞のゆくえはベルナルド・ベルトルッチ監督をはじめとする審査員の手に委ねられている。『風立ちぬ』がアニメーション作品として初の金獅子賞に輝くのか注目だ。受賞結果は現地時間9月7日に発表される。(取材・文:中山治美)

映画『風立ちぬ』は公開中
第70回ベネチア国際映画祭は現地時間9月7日まで開催

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