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ベネチア国際映画祭のクロージング作品 ホイット・スティルマン監督14年ぶりの新作『ダムゼルズ・イン・ディストレス』とは?

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(左)グレタ・ガーウィグ、(右)ホイット・スティルマン監督
(左)グレタ・ガーウィグ、(右)ホイット・スティルマン監督

 映画『メトロポリタン』や『バルセロナの恋人たち』を手掛けたホイット・スティルマン監督が、映画『抱きたいカンケイ』のグレタ・ガーウィグとともに新作『ダムゼルズ・イン・ディストレス(原題) / Damsels in Distress』について語った。

グレタ・ガーウィグ出演映画『抱きたいカンケイ』場面写真

 同作は、転校生(アナリー・ティプトン)と3人の女子大生(グレタ・ガーウィグ、キャリー・マクレモア、メガリン・エキカンウォーク)が、男子に支配されているセブン・オーク大学の風紀を変えながら、校内にある自殺防止センターで悩める学生たちを救っていこうとする青春コメディ。監督は、映画『ラスト・デイズ・オブ・ディスコ』(日本未公開)のホイット・スティルマンが、久々にメガホンを取っている独立系映画の注目作品でもある。

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 今作が、1998年に制作した前作『ラスト・デイズ・オブ・ディスコ』から年月が掛かったことについて、ホイット・スティルマン監督は「この企画のために、あっちこっちで予算を提供してくれる人たちをプロデューサーとして探さなかったから、こんなにも長い期間製作できないという失敗に至ったんだ……(これまでの作品で彼は監督だけでなく、プロデューサーも担当してきている)。しかも僕は、この映画の予算の捻出を当初ほかの人に委ね、ほかの脚本を次々に仕上げようとしていたことが余計に今作の製作を悪化させてしまったんだ。もちろんそのおかげで、あらゆる脚本を執筆することができたけど、結局はこれらの脚本が製作まで進展していなかったことに気付くのが遅過ぎたんだよ……」と語った。それまでアメリカで好評価を受けてきた彼でさえ、時間の掛かるプロセスだったようだ。

 3人の女子大生の中でもリーダー的存在のヴァイオレット役を演じたグレタ・ガーウィグは「ヴァイオレットは、わたしがこれまで演じた役の中でも一番好きな役よ。特に、彼女の情熱と理想主義なところに共感が持てて、わたし自身もそれらを持ち合わせていると思うけれど、わたしは彼女よりは少し自信がなくて、それらをあまり表現できないの。もっとも、お酒を飲めば、もっと開放的に話すけれどね……(笑)」とキャラクターについて話してくれた後、このようなアンサンブルキャストの中で演じてみて「毎朝、ほかの俳優たちとミニバンに乗ってセットに向かう途中で、台詞の早読みの練習をしながら、映画に必要なクオリティを見出していったの」と語る通り、グレタ・ガーウィグがほかの生徒の前で言葉をまくしたてるシーンがたくさんあって、そこが妙に彼女にハマっている。

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 近年の、大学生を描いたコメディとは一線を画していることについて「(ほかの人からそう言われるが)それでも、僕自身はこの映画を大学コメディだと思っているんだ。もともと僕は、大学は落胆させられたり、がっかりさせられるものだと思っている。ほとんどの人は大学は素晴らしくあるベきものだと思っていても、(大学生活を通して)落胆させられることはきっとあるだろ。だから、この映画の大学も表面は理想的な大学のようだが、実際にはレベルの低い大学の設定になっている。でもそんな中にも優秀な生徒は居て、そんな生徒たちがコミカルなユートピアを大学内で作り上げていくんだ。ただ、彼らの持つそんなユートピアのイメージは、グレース・ケリーやオードリー・ヘプバーンの香水のような幻想的なものでしかないんだ」と説明した。

 映画は、男子生徒の中で個性を放つ3人組と新人女子生徒が、まるで映画『クルーレス』の知的な大学版という印象を彷彿させた。そして、ホイット・スティルマン監督のさえわたる台詞は、時々シニカルな現実であることが興味深い作品に仕上がっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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