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巨匠ベルナルド・ベルトルッチに聞く!マーロン・ブランドとは、15年間も口をきいていなかった!

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ベルナルド・ベルトルッチ監督
ベルナルド・ベルトルッチ監督

 映画『暗殺の森』や『ラストタンゴ・イン・パリ』で注目を浴び、映画『ラストエンペラー』ではアカデミー賞の作品賞を含めた9部門を受賞したイタリアの巨匠ベルナルド・ベルトルッチ監督が、ニューヨークの近代美術館で12月15日~来年の1月12日まで開催されているレトロスペクティブ(過去の作品を上映)のイベントに参加し、過去の作品について振り返った。

 『暗殺の森』でタブーな題材を扱っただけでなく、撮影手法においてもこれまでの映画作品とは一線を画していたことについて「製作しているときは、映画の境界線みたいなものを越えている感じは全くしなかった。ただ個人的には、この映画よりもむしろ『ラストタンゴ・イン・パリ』のほうが大きなスキャンダルで、一線を画していた気がする! 母国のイタリアでさえ、あの作品を理解してくれていなかったからね」と語った。事実イタリアでは公開後わずか4日にして上映禁止処分を受けていた。「しかも、イタリアの法廷から5年間の市民権のはく奪や4か月間の執行猶予まで言い渡されたんだ(最初2か月の懲役刑を言い渡されたが、4か月間の執行猶予となったそうだ)。それが、今ではセックスに対する認識が全く変わった。それは映画を製作する上で、時とかみ合っていることもあれば、時よりも先を進んでいることがあるというだけなんだ。ただ、この2つの映画で扱われた題材は、そのときのわたしには重要な要素ではあったんだ」と明かした。

 『ラストエンペラー』で急に全く違う異文化に興味を持ったのは「実は、愛新覚羅溥儀の伝記『わが半生』を薦められて読む前までは、中国に対しては腐敗した政府の印象しかなかったが、その本を読んで中国の認識が変わったんだ。特にこの皇帝となった溥儀が、後に中国の何億もいる人口の一人と化してしまい、現状を認識して事実を受け入れなければならないことに驚かされた。ただ常にわたしは、異文化に興味を持っていたと思う。あの作品で、故宮(紫禁城)の撮影が今でも忘れられないね」と語った。ちなみに、世界初のロケーション撮影がこの故宮(紫禁城)で行われ、その中でも溥儀の即位式のシーンは、映画史上に残る壮大な映像となった。

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 『ラストタンゴ・イン・パリ』でのマーロン・ブランドとの仕事について「雑誌などで記されたマーロン・ブランドがわたしに言った批判的なコメントのほとんどは、撮影のときにわたしが質問したことに対して彼が返答したものばかりなんだ。彼はこの映画で、自分のそれまでの体験から演技を絞り出そうとしていて、僕の意図がイマイチわかっていなかったのかもしれない。撮影後にわたしが彼に、君は僕より年上なんだから、大人として自分が行ったこと(撮影の演技)を全く理解していないのはおかしいだろう?と挑戦的な言葉を放ったことがあった。それから、約15年間も彼とは口さえきくことがなかったが、1993年にわたしの妻クレア・ペプローが『ラフ・マジック』(日本未公開)をロサンゼルスで撮影していたときに、彼に電話をすると(それ以前も電話していたそうだが、マーロンは応対しなかったらしい)、まるでつい最近まで友人だったかのような受け答えで、わたしの電話に応じてくれたんだ。それから彼の家に行ってみると、非常に感動的な再会ができて、ようやく彼と友人関係を取り戻すことができたんだ」と興味深い話を語った。

 今回、ニューヨークの近代美術館からレトロスペクティブの依頼を受けたことについて「近代美術館に出展されているものは、どれも素晴らしい作品ばかりで、非常に光栄だと思っている。ただ、自分の過去の作品を見せることは、自分の人生を見せているようで、ある意味危険が伴っている感じがするよ(笑)」。

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 新作について「前作の映画『ドリーマーズ』を製作してから7年になるね。あれから、背中を痛めて、長い間製作ができなかったが、つい2、3か月前に読んだ映画『ぼくは怖くない』を執筆したニコロ・アンマニーティの作品「Io e te」(“僕と君”という意味)を読んで製作してみたいと思っているんだ。まだ、映画化権を取得していないが、これから交渉を進めていくつもりだ」と述べたベルトルッチ監督は、現在は車イスに乗りながら行動している。

 ベルトルッチ監督に聞きたいことはたくさんあったが、限られた時間と他の記者との同席のため、思ったより質問できなかった。ただ、貴重な体験をさせてもらった。彼の作品を待ち望んでいるファンは多いはずで、今後の新作が待ち遠しい。

 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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