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夏といえばホラー!ホラー漫画界の大家・楳図かずおが映像クリエイターを刺激する理由とは?

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楳図かずお原作の映画『赤んぼ少女』より
楳図かずお原作の映画『赤んぼ少女』より - (c)2008 楳図かずお・小学館/「赤んぼ少女」フィルムパートナーズ

 記録的な猛暑が続くこの時期にぴったりなのは、夏の風物詩であるホラー映画だが、古今東西、人々を恐怖させてきたホラー映画の世界において、ひときわ異彩を放つのが、人気漫画家・楳図かずおの作品を原作とした映像作品の数々である。漫画家生活50周年を迎えた2005年には、「楳図かずお恐怖劇場」と題し、黒沢清山口雄大らがメガホンを取った6本の映画が一挙に公開。その後も映画『猫目小僧』『おろち』『赤んぼ少女』と次々と映画化されるなど、楳図作品が映像クリエイターを刺激し続ける理由に迫ってみた。

楳図かずお原作映画『おろち』場面写真

 まず、挙げられるのは楳図作品がホラーという枠組みを超えて、人間が本質的に持つ怖さを描き続ける点だ。のろいやたたりといった、いわばホラーのお約束を踏襲しながらも、それらに翻弄(ほんろう)される人間の弱さや、時に利用してしまう人間の愚かさを鋭く見つめているのだ。例えば『おろち』では、29歳でその美ぼうが崩れ去る美女たちの悲しみ、そして背負った運命にわれを失っていく様がおどろおどろしく描かれる。「一番怖いのは人間」という楳図のメッセージが、映像クリエイターたちにホラー映画ではなく、人間ドラマを撮らせる力を与えている。

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 オリジナリティーあふれる世界観やキャラクターを具現化したいという、映像クリエイターなら誰もが抱く願望を刺激するのも、楳図作品ならでは。『赤んぼ少女』に登場する異形のヒロイン・タマミはその代表格だ。醜い容姿に生まれて、赤ん坊のまま成長が止まってしまった哀しい宿命の娘、タマミ。彼女が突然、目の前に現れた美少女相手に、自分の存在意義を取り戻そうと戦う姿はグロテスクでありながら、その奥には切なさや悲しみが宿っている。映像化することによって、漫画では描ききれないディテールにこだわることができる点も映画の魅力なのだ。

 また、楳図本人が自著の映像化に対して、「漫画は漫画。映画は映画」という比較的オープンな姿勢であることも、映画化作品が多く存在する理由だ。映画『神の左手 悪魔の右手』には、自身もコンビニの客役で出演している。余談だが、映画『東京ゾンビ』『グーグーだって猫である』などに俳優として出演し、持ち前のサービス精神を発揮している。この夏は、ホラー漫画界の大家・楳図かずおの映画化作品で、ヒンヤリ体験してみてはいかがだろうか。

『赤んぼ少女』は、8月26日深夜0:00よりWOWOWにて放送。

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