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事業仕分けで廃止危機にあった「子ども映画制作ワークショップ」今年は開催!崔洋一監督、子どもと映画づくり

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子どもたちにマエストロと呼ばれる崔洋一監督
子どもたちにマエストロと呼ばれる崔洋一監督 - Photo:Harumi Nakayama

 東京フィルメックス実行委員会が主催する、子ども映画制作ワークショップ第3回「『映画』の時間」がこのほど、東京・港区の国立政策研究大学院などで行われた。中江裕司監督、篠崎誠監督に続いて本年度の講師を務めたのは、宝塚造形芸術大学の教授でもある崔洋一監督。

 崔監督は、子どもたちに名前ではなく「マエストロ」(※イタリア語で師匠、名人、巨匠などの意味)と呼ばせ、日頃の撮影現場とはうってかわっての柔和な笑顔で子どもたち26人の陣頭指揮を執っていた。

 崔監督が与えたテーマは「大人と子ども」。ドキュメンタリー班とドラマ班に分かれた子どもたちは3月の週末計5日間で、テーマに沿ったストーリー作りから撮影、編集、上映会までを子どもたち主体で行った。テーマについて崔監督は「抽象的で考えやすいと思ったし、子どもが見た今の大人はどうなのか? を見てみたかった。最終的には“自己と他者”を考えてもらえれば。ただ子どもたちはアニメやゲームの影響を受けているようで、等身大の話に持ってくるのが大変だった。それが企画や撮影を通して、映画作りというのは自分の創造力と思考力を駆使しながら作っていくんだということに気付いてくれたと思う」と意図を語った。

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 完成した5本の映画からは崔監督の思惑通り、子どもの目線を通して今の社会が透けて見えるような力作ぞろいになった。40年後にタイムスリップするドラマ『2050』は、子どもの数が少ないという少子化問題に言及。同じくドラマ『大人はコドモで 子どもはオトナ』は、政治家になって国民を操ることを野望に持っていたワガママ少女が、15年後には改心して思いやりのある心を持った大人になる成長物語。子どもたちの抱く政治家のイメージが反映されているようだ。

 崔監督は「家庭環境もあると思うが、ニュースを見るのが趣味という子がいて『今のメディアが言うことはおかしいと思います』なんて語っていて驚いた。撮影中もワガママな女優がいたり、モメ事をぼうぜんと見つめ、時が過ぎるのを待つ男子がいたり、ほぼ我々の日常と同じ(笑)。大人にとっても発見があった」とほおを緩ます。

 なお、同イベントは港区文化芸術振興基金助成事業の支援を受けている。同様の子どもを対象にした文化イベントの多くは公的助成を受けている例が多く、先の事業仕分けでは独立行政法人国立青少年教育振興機構の「子どもゆめ基金」が廃止宣告を受けて関係者を落胆させた。だがその後、政府予算案として閣議決定され、平成22年度も助成活動続行になった。崔監督も「異空間の中で、こうして子どもと大人がかかわり合う事こそクリエイティブ。また共同作業をすることで他人と向き合うことが、自己発見にもつながるはず」と復活を喜んだ。

 その一方で、「『映画』の時間」にも協力し、同じく子どものための映画教室を有志で行っている「ちいさなひとのえいががっこう」は平成22年度の「子どもゆめ基金」の申請を見送った。「ちいさなひとのえいががっこう」の岡崎さんは「別の形で活動していく方向を考えています。結果的に事業仕分けは、自分たちの活動基盤を見直す良いきっかけとなりました」と語っている。(取材・文:中山治美)

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