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バブル崩壊で実業家から時給810円になった日本人男性が英BBCで放送され人気者に!

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ショーン・マカリスター監督と佐藤直樹さん
ショーン・マカリスター監督と佐藤直樹さん - Photo:Harumi Nakayama

 英国人監督が、山形に住むワーキングプアの実像に迫った映画『ナオキ』が山形国際ドキュメンタリー映画祭2009のインターナショナル・コンペティション部門で上映された。

 同作品で究極の負け犬人生をさらけ出したナオキこと、佐藤直樹さん(58)が今、日本だけでなく海外でも話題になっている。

 ナオキの人生は波瀾(はらん)万丈だ。若いころは学生運動に身を投じ、実業家時代は家3軒、会社2社、バー1軒を持ち、700万円のBMWを現金でポンと購入したほどのセレブ生活。しかしバブル崩壊ですべてをなくし、それが元で家族とも絶縁状態に。以後は、バーの常連客だった27歳年下の彼女ヨシエさんの部屋に転がり込んで「主夫」に。ようやく時給810円の、郵便局簡易保険の集金というアルバイトを見つけるも、それだけでは食べていけないことはわかっているが、プライドを捨ててバイトを増やすワケでない。昼は事務員、夜は水商売と一日15時間働くヨシエさんに頼り、臆面(おくめん)もなく小遣い1,000円をせびる。そうして生活に追われてセックスレスになった二人が、窓のない部屋で同棲生活を送ること5年。そろそろ結婚を考えてもいい時期だが、ヨシエさんの父親が自分と同じ年だと知ったナオキは、会いに行くこともできない。 

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 この、バブル崩壊に格差社会など、現代ニッポンの縮図のような人生を歩む二人にスポットを当てたのは、英国のドキュメンタリー作家ショーン・マカリスター監督。NHKと英国BBCの共同製作で、今年1月にNHKハイビジョン特集シリーズ「東京モダン」の1本として放送されるや、だめんずだけどちゃめっけがあり、彼女のために料理はもちろん、酔っぱらって絡む彼女を受け止める優しいナオキに魅了される人続出。BBC放送後にナオキが欧州を訪れるや、スーパースターのように扱われたという。マカリスター監督は「当初は別の企画を考えていたが、カメラの前で正直に話してくれる日本人が見つからず、NHKとBBCに一度『できない』と断りと入れたほど。その後、山形で英語の教師をしていた友人から、外国人向けのバーを経営していたナオキを紹介してもらった。

彼に出会うまで2年。その後3年かけて製作しました」と困難な道のりを明かした。 上映にはマカリスター監督と共に佐藤さん本人も登場し、地元・山形の観客に大拍手で迎えられた。観客から「映画に出たことで生活に変化は?」と問われた佐藤さんは、「さらすことをさらしたので、今は便秘が治ったみたい。周りには貧乏人とか、屁タレとか言われてますが、今は居直りみたいに生きていて、気持ちが良いです」とキッパリ。

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 また、その後のヨシエさんとの関係については、「僕たちが結婚式を挙げたところでせいぜい参列者は100人ぐらいだと思いますけど、NHKとBBCで放送され、何万人もの前でさらされたので、もう一生逃げられないでしょう」と劇中そのままの開き直りっぷりで観客を笑わせた。

 この日は客席に、もう一人の主役・ヨシエさんも訪れていた。そうと知るや、客席にいた年配女性がマイクを持ち「日本の男性はつまらない人ばかりと思っていたけど、ナオキさんのように日本人離れしたユーモアを持った男性がいて良かった。ヨシエさんは幸せ者ですね」と温かいエールを送っていた。コンペティション部門の結果は、14日に発表される。(取材・文:中山治美)

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