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『スター・ウォーズ』史を盛り込みつつ新機軸もプラス!

今週のマンダロリアン

 シーズン2も今回を含めてあと2回! チャプター15「信奉者」(シーズン2第7話)では、これまでとはちょっと違う新機軸をプラスしたエピソードが登場! 「マンダロリアン」はこれだから気が抜けない!(文・平沢薫)

※ご注意:このコンテンツは、「マンダロリアン」シーズン2についてネタバレが含まれる内容となります。後半の「もう観ちゃった方向け」はご注意ください。

今週のマンダロリアン(シーズン2)連載:第7回

<これから観る方向け:ネタバレなし>元帝国軍メイフェルドが大活躍!

マンダロリアン
(C)2020 Lucasfilm Ltd.

 今回は、前エピソードでマンドー(ペドロ・パスカル)が必要だと言った、元帝国軍のメイフェルド(ビル・バー)が大活躍。彼はこのエピソードの監督リック・ファムイーワが監督したシーズン1第6話「囚人」に登場したキャラ。雇主からマンドーに元帝国軍の狙撃手だと紹介されて「ストームトルーパーじゃないからな」とわざわざ付け加えた、狙撃手であることに誇りを持つ人物だ。

 演じるビル・バーはコメディアンでもあり、アニメシリーズ「FはFamilyのF」で、クリエイター、製作総指揮、声の出演を兼任。テレビドラマ「ブレイキング・バッド」のシーズン4~5では、弁護士ソウルに雇われて便利屋として働く口数の多いクービーを演じていた。今回のメイフェルド役には、かなりいい見せ場がある。

 また今回は、脚本に新たな趣向あり。このシリーズの脚本はほとんどクリエイターのジョン・ファヴローが手掛けているが、今回は監督ファムイーワ自身が単独で担当している。2015年の青春コメディー『DOPE/ドープ!!』で注目され、一時はDCヒーロー、フラッシュを描く映画の監督候補になったファムイーワ監督のこだわりにも注目だ。

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<もう観ちゃった方向け:ネタバレあり>新ネタと歴史ネタの合わせ技!

マンダロリアン
(C)2020 Lucasfilm Ltd.

 服役中の元帝国軍狙撃手メイフェルドの脱獄ドラマかと思ったら、刑務所からの開放はあっさり済んで、今回は海賊からの逃走アクションと帝国軍基地への潜入サスペンスに。さらにボバ・フェット(テムエラ・モリソン)のアーマーが手入れされてその雄姿に賛嘆、強い女戦士2人が一緒に巨大な銃を構える姿に惚れ惚れ。そのうえ、それにうっとりしている暇もないほど、新機軸を連打して唸らせてくれる。

 まず、ザ・チャイルドが登場しないのがシリーズ初。そして、マンドーがほかの人間の前で素顔をさらすのもシリーズ初。それらにも増して印象的なのが、メイフェルドの語る共和国観。彼は、先住民にとっては帝国軍も共和国も変わらない、どちらも侵略者だと語る。この観点がセリフで語られるのもシリーズ初だろう。そして、トルーパーたちの珍しい光景も描かれる。メイフェルドとマンドーが帝国軍のふりをして海賊を撃退して帝国軍基地に潜入したとき、トルーパーたちが集まって来て仲間の健闘ぶりを称賛するが、この光景は『スター・ウォーズ』全史でもレアなのではないか。こうした新たな光景が「マンダロリアン」世界の奥行きをさらに深くしてくれる

 これらは今回、監督だけでなく脚本も手掛けたリック・ファムイーワが描きたかったことかもしれない。しかし、こうした新要素を盛り込みながらも、これまで通りの「マンダロリアン」の世界観はキープ。メイフェルドは、帝国軍上層部の作戦ために多数の仲間が死んだことを今も忘れず、元上官がその作戦が正しかったと語ると我慢できずに元上官を撃ち、自分が運んだ爆薬も帝国軍に使われないように破壊する。この行動はやっぱりいつもの「マンダロリアン」の世界だ。

マンダロリアン
(C)2020 Lucasfilm Ltd.

 ちなみに、この高慢な元上官ヴァリン・ヘス、今回のタイトルとなった帝国軍の価値観の信奉者を演じたのは、英国俳優リチャード・ブレイク。テレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のシーズン4~5の夜の王、映画『バットマン・ビギンズ』でブルースの両親を撃ったジョー・チルを演じた俳優だ。

 この元上官がメイフェルドを歴史に詳しい男らしいと言う通り、彼のセリフには『スター・ウォーズ』の歴史がたっぷり。彼がこの基地を管理していると言う元帝国保安官は、帝国の諜報機関で『スター・ウォーズ/新たなる希望』にも登場。メイフェルドが参加したと言うシンダー作戦は『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』直後に帝国軍が行なった破壊作戦で、彼がいた惑星バーニン・コンはその標的の一つ。この作戦は翻訳が刊行されたコミック「スター・ウォーズ:砕かれた帝国」に出てくる。

 また、日本語字幕では省略されているが、彼の「部隊長は耳をやられていまして」というセリフは英語字幕ではタナブでという地名入り。このタナブは英語字幕ではTaanabだが、発音が同じTanaabは『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』のランド・カルリジアン(ビリー・ディー・ウィリアムズ)のセリフに登場。彼は反乱軍の将軍に任命され、ハン・ソロ(ハリソン・フォード)に「将軍にご出世か」と冷やかされて「タナブで戦ったのをバラしたな」と言っている。綴りは微妙に違うが、メイフェルドはこの戦いのことを言いたかったのかもしれない。今回のエピソードは、新機軸を盛り込みつつ歴史もしっかり踏まえているのだ。

マンダロリアン 

 歴史を思い出させるおなじみのアイテムも続々。不安定な爆薬ライドニウムはアニメ「スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ」「スター・ウォーズ 反乱者たち」でおなじみ。海賊たちが続々と投げつけてくる熱爆弾サーマル・デトネーターも、メイフェルドが「ライフルをよこせ」と言って、さすがは元狙撃手の腕前を見せるサイクラー・ライフルも、『スター・ウォーズ/新たなる希望』から登場。ベージュ色のアーマーの熱帯戦闘用兵士ショアトルーパーは、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』にも。ボバの愛機スレーブ1が投下する青い光線を放つ爆弾サイズミック・チャージは『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』でジャンゴ・フェット(タムエラ・モリソン)がスレーブ1からオビ=ワン・ケノービ(ユアン・マクレガー)に発射していた。

 そして最後のシーン、ホログラム通信でマンドーがモフ・ギデオン(ジャンカルロ・エスポジート)投げつけるセリフ「例のものを引き渡せ」から「お前は知るまい」までは、まるごとシーズン1第7話「罰」でギデオンがマンドーに言ったセリフと同じ。これこそまさに、マンドーのギデオンへの宣戦布告。彼はいったいどんな攻撃を仕掛けるのか。次回、シーズン2のラストが今からが待ちきれない!

10月30日(金)よりディズニープラスにて独占配信中 (毎週金曜日17:00に新エピソードが配信:全8話)

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