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「鬼滅の刃」で話題!制作スタジオufotableはここがすごい!

(C) 吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 現在、大ヒットしている劇場版「鬼滅の刃」無限列車編。2019年4月から始まったTVアニメの放送をきっかけに大ブレイクしています。そのアニメシリーズを制作したのは、ufotableというアニメーションスタジオ。常に高品質の作品を生み出すスタジオとして、アニメファンの間では認知されており、2000年代、2010年代のアニメ界をリードしてきた会社の一つです。今回は、『鬼滅の刃』で初めてufotableの作品に触れた方向けに、このスタジオの特徴と魅力を解説してみたいと思います。

TVアニメでも劇場クオリティーの作品を作る会社

 ufotableの設立は2000年。東京と徳島に拠点を構えるアニメ制作会社です。初期にはバラエティー番組のオープニング映像や他社の下請けなどを手掛け、2000年代前半には早くもテレビアニメの元請け作品を制作するようになります。2005年に制作した「フタコイ オルタナティブ」が第9回文化庁メディア芸術祭で審査委員会推薦作品に選出されるなど、高い評価を獲得しました。

 その後、『鬼滅の刃』でも手を組んだアニプレックスと、スマートフォン向けRPG「Fate / Grand Order」などで知られるゲームブランドTYPE-MOONの作品をアニメ化することでファンを拡大。OVA作品を映画館で連続公開するという異色のビジネスモデルを打ち立てた『空の境界』シリーズが、アニメファン、原作ファンから絶賛を受け、注目を浴びるようになりました。

 脚本制作から演出、作画・CG、美術、撮影など、アニメ制作の大部分の工程を自社で行える体制を整えており、スタッフ間の緊密な連携によって常にクオリティーの高い作品を生み出すことで知られ、TVアニメであっても、劇場映画並の質の作品だと評価されています。

 アニメ制作のほか、代表の近藤光氏の故郷徳島に第二スタジオと映画館を設立したり、徳島市内で行われるアニメの総合イベント「マチアソビ」の立ち上げにも携わるなど、地域経済とも積極的に関わっているのもこの会社の大きな特徴。さらには、自社作品のコラボカフェを運営し、ファンと作品が触れ合う機会を創出するなど、多岐にわたる活動を行っています。

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ufotableの作風

 ufotableは、TYPE-MOONとの関わりが深く、同ブランドのゲーム作品のアニメ化を多数手がけています。ufotable躍進のきっかけとなった『空の境界』『Fate』シリーズを制作し、いずれも高い評価を獲得しています。

 『鬼滅の刃』は、夜に戦うシーンが多いですが、『空の境界』や『Fate』シリーズも夜のシーンが多い作品で、これまでの作品で磨き上げてきた夜のシーンを美しく描く力が『鬼滅の刃』でもいかんなく発揮されています。

 また、華麗でダイナミックなアクション描写も持ち味で、3Dレイアウトを駆使した大胆なカメラワークとスピード感を伴った作画で迫力あるアクションをつくることができるのもufotableの大きな強み。『無限列車編』においても、列車の屋根上という限定的な空間でも、キャラクターの上下左右に回り込むようなカメラワークで立体的なアクションを創出しています。

 背景などの美術も緻密で美しく、『無限列車編』冒頭のシーンでもその見事さを堪能できます。また、映画終盤の朝日が昇るシーンも、ufotableの美術へのこだわりが感じられる美しい仕上がりになっています。

 『空の境界』以降、ufotableは原作のある作品を数多く手がけてきましたが、原作ものを扱う時には「その作品(原作)を好きな人が制作するべき」というこだわりを持っており、『Fate』シリーズも『鬼滅の刃』も原作の魅力を十分に理解した上で、その魅力を最大限引き出す努力を行っている点が、ファンから信頼される大きなポイントになっています。

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代表作

「フタコイ オルタナティブ」
「電撃G's magazine」で連載されたラブコメ作品「双恋」を大胆にアレンジした作品。キャラクター設定を大幅に変更し、スラップスティックなギャグにド派手なアクション、シュールな演出で評判を呼び、文化庁メディア芸術祭でも高い評価を得た作品です。1話冒頭のアクションシーンは、いま観ても全く色褪せない完成度です。初期ufotableを代表する作品であり、本作の高評価が後の「TYPE-MOON× ufotable プロジェクト」の立ち上げにつながり、躍進のきっかけとなりました。

『空の境界』シリーズ
ufotableの名前をアニメファンに強く印象付けたOVAシリーズ。『Fate』シリーズの生みの親、奈須きのこ氏の同名小説を映像化したもので、原作に忠実に映像化されており、そのクオリティーで多くのアニメファンを唸らせました。写真原図を用いた緻密な背景、小物の散乱する事務所をスタジオ内に再現して背景を作成するなど、徹底してリアリティーにこだわり、着物に赤い洋風ジャケットのいで立ちで戦う主人公・両儀式のスタイリッシュなアクションも見どころ。和洋折衷の出で立ちの主人公と、夜に怪奇と戦うという物語は、鬼滅の刃とも共通する点があり、その後のufotableの躍進と作風を決定づけた作品と言えるでしょう。

『Fate/zero』
『空の境界』で披露した劇場アニメのクオリティーをTVアニメで展開させると意気込んで企画され、本当にそれを実現し、多くのアニメファンを驚かせた作品です。緻密で情報量の多い背景と華麗な作画、CGと手描きのマッチングも絶妙、夜のシーンの光の微妙なニュアンスなど、細部まで高い技術によるこだわって制作された傑作です。

『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』
「Fate」シリーズの原点であり、「Fate/zero」の10年後の物語である「Fate / stay night」の分岐3ルートの1つ「Unlimited Blade Works(UBW)」をアニメ化した作品。大人同士の壮絶な戦いを深い夜の闇の中で描いた「zero」に対して、こちらの作品では高校生同士の明るいやり取りも含みつつも、権謀術数の渦巻く聖杯戦争に身を投じる若者たちの過酷な運命、主人公・衛宮士郎の心の闇と克服を描く重厚なドラマを展開しています。監督は、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』で、列車上での戦闘シーンの絵コンテを担当した三浦貴博氏。

『Fate/stay night [Heaven's Feel]』
「Fate/stay night」の3ルートの中でも最もダークなストーリーで映像化困難とも言われた作品を劇場版3部作で完全映像化。「正義とは何か」を問うシリーズにあって、主人公が初めて愛する人のためだけにその身を削り戦う姿を描いた作品です。二章『lost butterfly』の夜の公園で衛宮士郎が桜を抱きしめるところをスローモーションで描いたシーンの美しさは必見。雨粒にも光を反射させ漆黒の夜のなかで2人が祝福されているかのような印象を与えており、ufotableの作画、背景、撮影エフェクトなど各パートのハイレベルさがよくわかるシーンです。

「テイルズ オブ」シリーズ
「鬼滅の刃」の外崎春雄監督が、ufotable作品で始めて監督を務めたシリーズ。バンダイナムコエンターテインメントから発売されているRPGシリーズのアニメ化で、OVA「テイルズ オブ シンフォニア THE ANIMATION」とテレビアニメ「テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス」、そしてゲーム内アニメーションも外崎監督が手掛けています。また、作画監督とキャラクターデザインを「鬼滅の刃」でも外崎監督とコンビを組んだ松島晃氏が務めています。西洋ファンタジー風の世界観で、「鬼滅の刃」や「空の境界」とは異なる世界ですが、世界観の異なる作品でも質の高い作品をつくることができると証明した作品と言えるでしょう。

「活撃 刀剣乱舞」
人気ゲーム「刀剣乱舞」のテレビアニメ第2弾であり、別のアニメスタジオが制作したコミカルな第一弾「花丸 刀剣乱舞」とは対称的に、シリアスな戦いを中心に描いた作品です。「鬼滅の刃」ファンの間で人気の高い19話「ヒノカミ」の演出・絵コンテを手掛けた白井俊行氏がシリーズ監督を務めた作品で、白井氏が得意とするダイナミックなアクションが全編で堪能できる作品となっています。ufotableが本格的な時代劇風の世界観に初めて挑んだ作品で、同じく和風ファンタジーである「鬼滅の刃」にもそのノウハウが生かされています。外崎監督によれば、『無限列車編』における煉獄杏寿郎の夢の中に登場する日本家屋の描写などに、本作の経験が活きているとのこと。また日本刀による剣戟である点も「鬼滅の刃」とも共通するポイントです。

「衛宮さんちの今日のごはん」
『Fate/stay night』を題材とした派生作品で、壮大な戦いを描いた本編と異なり、登場人物たちがほんわかした日常のなかで料理を楽しむほのぼのとした内容です。1話あたり約12分と短い尺のなかで、毎回必ず凝った料理が登場します。ここで培った食事の作画が『無限列車編』のお弁当の描写にも活かされています。シリアスなアクション作品を数多く代表作に持つufotableにおいて、珍しい作風の作品ですが、こうした作品も手堅く手がけられるところに同社の実力の高さがうかがえます。自社内でアニメ制作の大半を賄えるため、過去に手掛けた作品で培った技術やセンスが蓄積され、それが『鬼滅の刃』にも数多く反映されていると言えるでしょう。現在のアニメ界を代表するスタジオといっても過言ではない同社は、今後も要注目です。(杉本穂高)

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