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園子温×斎藤工も!「緊急事態宣言」テーマの映画集が豪華すぎる

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中をパニックに陥れ、まさに“緊急事態”な今、それを逆手に取って、この歴史的なコロナ禍を生きる時間を1本の作品に刻むことはできないだろうか?……オムニバス映画『緊急事態宣言』が始動するや、インパクト大なメンツが顔を揃えた。三木聡園子温真利子哲也中野量太、映像制作ユニット「非同期テック部」(ムロツヨシ真鍋大度上田誠と真に凄腕な作り手、夏帆斎藤工、ムロツヨシ、柴咲コウらきらびやかな存在感を放つ俳優たち。彼らが、「接近禁止!打ち合わせ、撮影、演出、なるべく非接触!」という、反3密な制限を逆手にとってクリエイター魂を爆発させた。

ムロツヨシ&柴咲コウの恋愛映画のハズが…!?『DEEPMURO』

DEEPMURO

 緊急事態宣言下にインスタライブを発信し、俳優のなかでも際立った存在感を示したムロツヨシ。彼が部長を務め、じつは大学の同級生(!)という、Perfumeと長年タッグを組んでいるメディアアーティストの真鍋大度、ヨーロッパ企画の作・演出を担う上田誠がそれぞれ副部長を務める映像制作ユニット「非同期テック部」。外出自粛期間中に放った「ムロツヨシショー」に続く新作、それが『DEEPMURO』だ。

 「恋愛映画をやろうということで心を決めていましたので」

 そんなムロの宣言に始まるこの映画はもちろんラブストーリー。それっぽいカフェバーでムロと柴咲コウが恋愛映画っぽい微妙なニュアンスをはらんだ言葉をやりとりする男女を演じている。けれど、ムロの様子がどこかおかしい。

 「ムロさんなんか、変じゃないです?」

 戸惑う柴咲の前に「ちょいちょいちょい。ちょーいちょいちょい」とか言いながら姿を現したのは……?

 ウザ面白いムロを始めとした豪華キャスト、真鍋のキレキレな映像センス、上田のSF風味な台本ーーその三つ巴による化学反応がさえわたる。

中野量太監督が贈る自粛期間中の家族の物語『デリバリー2020』

デリバリー2020

 『湯を沸かすほどの熱い愛』で一気に第一線級の映画監督となった中野量太。続く『長いお別れ』でも、描くのは“家族”だった。ありきたりだったりイビツだったり極端な欠落があったり、たまたまそこに生まれついたという避けがたい運命としての家族という単位を軸に、人と人とのつながり、それに由来するクスっと笑えるおかしみや密かにはらむ毒気、人を思いやる心の深い力強さを丁寧に描いていく。

 そんな中野監督が『デリバリー2020』で描くのも、やはり家族。外出自粛が続くある日、離れ離れに暮らす3人がオンラインで集まる。「家族の誕生日は食卓を囲んで、みんなでお祝いをする」という一家のルールに従い、長女(岸井ゆきの)のために手づくりケーキを拵えた母(渡辺真起子)と、“宮崎アニメ”を崇拝する長男(青木柚)と。不在の父は予定通り、19時に帰宅するという。けれど3人の会話は、微妙にすれ違う……。

 外出自粛期間中に見慣れた、リモートで会話をするPCの分割画面で展開する人間ドラマ。だが、3人の俳優がそれぞれ繊細につくりこんだ芝居をじっくりと堪能できる。

自粛生活がさらに続いたら?園子温×斎藤工『孤独な19時』

孤独な19時

 『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』『ヒミズ』と過剰な創作エネルギーをドバドバ放出、制御不能な暴走系映画監督、園子温。猛スピードで連打される新作はそれぞれに濃厚で過激でいろいろと“むきだし”、発表されるたびに物議を醸す。そんな園監督の最新作が『孤独な19時』だ。

 舞台は近未来、現状の緊急事態が牧歌的な風景に思えるほどの凶暴なウイルスが蔓延。それから新たな自粛生活が続くなか、生まれてから一度も外出したことのない音巳(斎藤工)は、「不快な感じの物音」に導かれて家の外へ。そこで音巳が見たものは?

 静かで孤独な生活を送る男が、外の世界に触れて内面世界が一変。ささやかながら確かな喜びをもたらしたコージーな家が、ある出会いによって味気ない孤独な空間に変わってしまう……って素敵なラブストーリー!? 防護服に身を包んで出かける命がけの買い物(→音巳の時代ではドローンで運ばれてくる!)、50メートルのソーシャルディスタンスと、コロナ禍以前なら現実から遠い設定の近未来SFだったはずが現実に起こりえそうなリアル!……と思ってしまう。作品の完成度の高さも驚異的。

不倫で干された女優を襲う奇妙な出来事…『ボトルメール』

ボトルメール

 膨大な小ネタの集積による密度の濃い笑いを、笑いのプロのような俳優陣を揃えて緻密に構築。その結果どこかのんびりとした空気が全編を覆い、観る者を心の底から脱力させるーー。「時効警察」シリーズをはじめとする三木聡監督の個性はまさに唯一無二。『ボトルメール』はそんな三木ワールドのその先の領域へ足を踏み入れる。

 主人公は、俳優との不倫発覚で仕事を干されて預金残高238円の女優、鈴音(夏帆)。スマホ片手に仕事の口利きを頼みながら帰宅すると、自室の前で、じっとこちらを凝視する怪しい風貌の隣人女性に遭遇する。ぎょっとしてその視線をたどると、そこには“不倫女優”と書かれた風鈴が。ちろり~ん、その日から鈴音の周辺で奇妙な出来事が続発する。

 見た目にインパクトのある女、発言すべてによくわからない含みのある女性プロデューサー、直接会ったことのない監督にリモートで受ける演技指導……。「熱海の捜査官」『俺俺』でもその可能性を探った、悪夢のような不条理のような世界。でもそこは三木監督、クスっと笑える小ネタがびっしり麻生久美子も出るよ!

真利子哲也監督が捉えたコロナ禍の世界『MAYDAY』

MAYDAY

 虚飾を排した『NINIFUNI』の衝撃、『ディストラクション・ベイビーズ』での純粋な暴力への衝動、伝説の漫画を池松壮亮×蒼井優の激突で実写化した『宮本から君へ』の風圧すら感じる気迫。真利子哲也監督の映画には常に生きるか、死ぬか? を思わせるギリギリ感が漂う。『MAYDAY』はそんな真利子監督が、「映画の起源までさかのぼって考えた」という作品

 コロナ禍の2020年5月、世界中の友人からビデオレターが届く。愛犬と朝の散歩を楽しんだり、ベビーとの時間をいとおしむように夫婦で過ごしたり。北米、南米、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、日本時間の19時ちょうど、人びとはそれぞれの時間を過ごしている。TVから流れるニュース、マスク姿の人びと、街に流れるソーシャルディスタンスの呼びかけ。変わらないものと変わってしまったものの足跡、その先に見えるものは?

 報道や情報ではなく、人間が生きているその丸ごとを捉えた映像の集積で伝えられるなにか。やはりこれも真利子印の直球。

 さらに、石野卓球が『緊急事態宣言』のドキドキさせるオープニング映像の音楽を担当。5組の作品に刻まれた、歴史的瞬間の記憶とは? かつてないこのエンタメ作を目撃せよ。(文・浅見祥子)

『緊急事態宣言』は8月28日より Amazon Prime Video にて独占配信
※配信順は『デリバリー2020』『孤独な19時』『DEEPMURO』『ボトルメール』『MAYDAY』になります。
公式サイト>>

(C) 2020 Transformer, Inc.

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