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『ローマの休日』の何がすごかったのか…!

午前十時の映画祭
美男美女! - Paramount Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 不朽の名作を上映する「午前十時の映画祭10-FINAL」ウィリアム・ワイラー監督作ローマの休日が登場! オードリー・ヘプバーンがジェラートを口いっぱい頬張るキュートな姿、ベスパでローマの街をかっ飛ばす姿、「真実の口」で慌てて叫び声を上げるピュアな姿……妖精オードリーが繰り広げる名シーンの数々は、私たちの脳裏に強烈に刻みつけられています。

 公開後65年以上経つ今も、新鮮な感動を呼び起こすのはなぜなのか——。新人女優オードリーにアカデミー賞主演女優賞をもたらし、映画史上唯一無二のアイコンに彼女を押し上げた本作の魅力を考察していきましょう。(文:此花さくや)

英国王室の格差ロマンスと物語がリンク!?

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(C) 2019 Paramount Pictures.

 世界の王室のなかでも際立つ人気を誇る英国王室。映画が米公開された1953年はちょうど現エリザベス女王が戴冠した年。第2次世界大戦後の傷跡がまだ癒えぬ当時、王室は人々の憧れや希望の対象で、若く美しいエリザベス女王の誕生は世界中から祝福されました。加えて、女王の妹である美しく快活なマーガレット王女は、離婚歴のある年上の一般男性とのロマンスが噂されていました。

 『ローマの休日』は、オードリー演じるヨーロッパ某国のアン王女が、ローマを訪問中に宿舎である大使館を抜け出し市内をお忍びで楽しむうちに、アメリカ人の新聞記者ジョー(グレゴリー・ペック)とつかの間の恋に落ちる物語。貴族ではない男性に惹かれたアン王女に、マーガレット王女を重ねて見た人も多かったのだとか。

ラブコメに包まれた女性映画

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(C) 2019 Paramount Pictures.

 随所に笑いが散りばめられた本作はラブコメとも呼べますが、等身大の女性の成長物語でもあります。異なる社会階層に属するアン王女とジョーですが、二人が出会い自分にないものを学び成長していきます。

 おとぎ話のハッピーエンドのように、身分を超えてアン王女とジョーが結ばれることを期待してしまいますが、彼女は恋愛を人生の目標にしませんでした。ジョーとの恋から若い王女はアイデンティティーに目覚め、恋愛よりもキャリアのほうを、きっぱりと選択するのです。だからこそアン王女は、女性の人生において結婚以外の選択肢もあるという現代の女性をもエンパワーし続ける存在といえるでしょう。

一世風靡したヘプバーンカット&定番化したオードリーのファッション!

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あ~ん「パクッ」 - Paramount Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 「トレヴィの泉」近くの美容院でロングヘアをばっさりと切り、恥ずかしげに、そして誇らしげに鏡を見つめるアン王女。前髪を短く切り、サイドをカールしたショートカットは「ヘプバーンカット」として一世風靡しました。

 また、ハリウッドが生んだ伝説の衣装デザイナー、イーディス・ヘッドがアカデミー賞衣裳デザイン賞を勝ち取った本作には、現代でも見かける定番ファッションが登場します。新人女優とはいえ、確固たるファッションセンスを光らせていたオードリーは、大御所イーディスとの打ち合わせに、自分のデザイン画を持参したという話もあるほど。太いベルトでウエストをぎゅっと締めるスタイルも、オードリーの提案によるものだといわれています。

 白シャツにフレアスカート、太ベルトにスカーフといったオードリーのファッションは世界中へ発信され、今でも色あせることのない永遠の定番アイテムになりました。

名作が私たちを魅了し続ける理由

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感動の名シーン - Bettmann / Getty Images

 『ローマの休日』が今なお私たちを魅了し続ける理由。それは、映画ジャンルの垣根を超えた作品性が、気高く無邪気なオードリーの多彩な顔と絶妙にマッチし生じた、奇跡の作品だから。これほど豊かな物語とイメージに溢れた映画は、一度は大きなスクリーンと迫力満点の音響がある劇場でじっくりと堪能したいもの。

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8月のラインナップ『ニュー・シネマ・パラダイス』 - (C) 1989 CristaldiFilm

 『ローマの休日』とともに、8月の映画祭に登場するのは、ジュゼッペ・トルナトーレ監督作ニュー・シネマ・パラダイス。第2次世界大戦後のイタリアを舞台に、中年の映画監督が昔を回想する物語です。シチリア島の小さな村で唯一の娯楽だった映画館、映写技師との友情、苦い失恋をエンニオ・モリコーネの音楽がノスタルジックに紡いだ、涙なくしては見られない傑作

 さらに、映画祭初上映作品として、7月には米人気バラエティー番組「サタデー・ナイト・ライブ」の名物キャラクターを映画化したジョン・ランディス監督作ブルース・ブラザース、9月には名匠ルキノ・ヴィスコンティ監督作ベニスに死す、10月には1970年代を代表するスタンリー・キューブリック監督作時計じかけのオレンジなども上映されます。生と死美と醜音楽と芸術など、様々な要素が盛り込まれたこれら名作からは、喜びや感動だけではなく、人生の新たな視点がきっと得られることでしょう。

「午前十時の映画祭10-FINAL」は2020年3月26日(木)まで全国58劇場で開催中

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