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過激に議論を巻き起こす!『キングスマン2』制作秘話~コリン・ファース&監督インタビュー

今週のクローズアップ

『キングスマン:ゴールデン・サークル』

 人気スパイ映画の続編『キングスマン:ゴールデン・サークル』がついに日本でも公開されました。前作で死んだと思われていたもののまさかの復活を果たした敏腕スパイ・ハリー役のコリン・ファースと、自身初の続編を手掛けたマシュー・ヴォーン監督に電話インタビューを行い、“きっと2度目が観たくなる”制作秘話を聞きました。(取材・文:編集部・市川遥)

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プリンスが流れる!ブラックキャブのチェイスシーンの裏側

『キングスマン:ゴールデン・サークル』

 「オープニングシークエンスで人々の注意を引かなくてはいけないと思った」というヴォーン監督は、冒頭にロンドン名物・ブラックキャブの車内外で繰り広げられるめくるめくアクションシーンを持ってきました。ブラックキャブを選んだのは、それが「すごく普通の見た目の車」だったからでした。

ヴォーン監督「通常スパイ映画で使われるのはアストンマーティン、アウディ、ポルシェ、フェラーリといったすごい車だが、タクシーというとても退屈な車が並外れたことをすれば、ずっと興味深いシーンになるんじゃないかと思ったんだ」

 同シーンで使われた曲は、プリンスの「レッツ・ゴー・クレイジー」。「音楽なしだと脚本を書けない」「音楽は僕にとってとても大切で、映画の半分を成しているもの」と語るヴォーン監督は、このシーンでも執筆中から細かく音楽のプランを練っています。

ヴォーン監督「自分の映画でプリンスの曲を使うのが夢だったんだ。この曲には三つの明確なセクションがあって、それぞれがとても異なったスタイルになっている。これだけの時間、一つの曲を流すと映画が退屈になりかねないが、編集してこの三つのスタイルが現れるようにした。だから1曲というより、3曲のように聴こえるんじゃないかな」

『キングスマン:ゴールデン・サークル』

 その後、ブラックキャブはボンドカーばりに水中仕様にトランスフォームしますが、激しい戦闘でフロントガラスはボロボロ。車内にはガンガン水が入ってきて、主人公エグジー(タロン・エガートン)は息を止めないといけなくなってしまいます。これもヴォーン監督の狙いでした。

ヴォーン監督「全ての空想的なことを、地に足のついた形でやることがとても重要だった。多くのアクション映画はミスを犯している。アクションヒーローにとって簡単すぎるんだ。何事も簡単にこなしてしまうと、彼らと共感することはできないし、退屈してしまう」

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議論を巻き起こす映画を作るのが好き!

『キングスマン:ゴールデン・サークル』

 前作では、地球環境への負担を減らすために世界の人口を激減させるという過激な手段を取る悪役ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)を登場させるなど、時事ネタを絡ませたヴォーン監督。本作の悪役であるポピー(ジュリアン・ムーア)を世界的な麻薬組織「ゴールデン・サークル」のボスとしたのには、以下のような理由があると言います。

ヴォーン監督「今回は三つの理由があるんだ。第一に、ステイツマン(アメリカ版キングスマン)がアルコールビジネスをしているというのが気に入っていた。アルコールは合法なのに、なぜドラッグは違法なのかという疑問を生じさせるから。第二に、悪役が世界全体に毒を盛って、史上最大の人質事件を起こすのにいいやり方を見つけようとしたから。何もかも規制されているからそうしたことをするのはとても難しいが、ドラッグは規制されていないとね。第三に、議論のきっかけになるような映画を作るのが好きなんだ。ドラッグは合法化されるべきだと考えている人たちと、そうではないと考えている人たちがいる。本作は確かにエンターテインメントだが、見終わった後に皆に議論をしてほしい。第1作のヴァレンタインについて『まあ、彼の考えにも一理ある』と言っている人たちがいた。ジュリアン演じるポピーもそう。解決策はクレイジーだけど、彼女が提示した問題点はクレイジーではない。つまり、僕は人々に考えさせるような悪役にしようとしているんだ」

『キングスマン:ゴールデン・サークル』

 ヴォーン監督は、仕事柄アメリカに帰れないポピーがカンボジアに1950年代アメリカを再現したアジト「ポピー・ランド」から、ステイツマンが作るウイスキーまで子細にデザインして作り上げました。ウイスキーに至っては販売もしています(「皆おいしいと気にいってくれているよ!」)。

ヴォーン監督「普通とは違っていて、面白くて、細部まで凝った世界を作り上げるのは楽しかった。クレイジーだが、リアルに感じられる世界だ。ポピー・ランドでいえば、あの素晴らしく風変りなものを僕らは全て作り上げた。あそこを実際に歩き回るのは素晴らしかったよ。信じられない思いだった。ウォルト・ディズニーとアメリカの50年代のフュージョンというアイデアを思い付いたときはそれが可能かはわからなかったけど、可能だったんだ」

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英国キャストと米国キャストの対立は?

『キングスマン:ゴールデン・サークル』

 マナーを重んじる超イギリス的なキングスマンと、ラフで超アメリカ的なステイツマン。本作で相対したイギリスの俳優陣とアメリカの俳優陣も、互いをライバル視したりしたのでしょうか?

コリン「そういうことは全くなかったよ(笑)。最初アメリカのキャストは……まあ最後には皆同じになった、実際ね。撮影現場にいるただの俳優だ。とても違った服を着て、違った演技をしていたが。ただ一般論として、わたしたちはアメリカの俳優たちにちょっと圧倒されてしまっていた。反対に向こうもそういう風に感じていたようだった。なんというか、わからないが……イギリスの俳優は演劇の訓練を受けているからとかそういうような……。まあ、最後にはわたしたちにはそんなに違いはないとわかったよ」

 また、ちょっとびっくりするのが『ローガン・ラッキー』などのチャニング・テイタム(ステイツマンのエージェント・テキーラ役)の出演シーンの少なさですが、これは途中でチャニングのスケジュールの問題が出てきたからだそう。エージェント・ウィスキー役のペドロ・パスカル(ドラマ「ナルコス」など)と役割を一部交代することになったと、主演のタロンが The Hollywood Reporter に認めていました。

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キャラクターと俳優がシンクロしているから面白い!

『キングスマン:ゴールデン・サークル』

 キングスマンの敏腕エージェント・ハリーに見いだされ、不良少年から一流のスパイになったエグジー。演じたタロンも本作が映画初出演で、ここからキャリアをスタートさせ飛躍していきました。二人の人生がある意味シンクロしているのも、本作の面白い点です。

ヴォーン監督「だから僕はエグジーを見るのが楽しいんだ! タロンはエグジーと同時に同じペースで現実世界で成長している。タロンは『キングスマン』以前には一度も映画のセットに来たことがなかった。彼の映画作りへの驚嘆というのは、エグジーがスパイになる過程で感じるものと同じだった。今や彼は成長したね。エグジーと同じようにもっと自信に満ちているし、全てわかっていると思っている。それは面白いよ。人生は芸術を模倣するし、芸術は人生を模倣する、というのがね」

『キングスマン:ゴールデン・サークル』

 一方、ハリー役のコリンは「この役柄を演じることを通してタロンとわたしは知り合ったから、実際の関係がある程度反映されている。でも(ハリーはエグジーのメンターだが)わたしはタロンのメンターだとは思わない。友達なんだ」と説明します。

コリン「彼はとても若く、演劇学校を出たばかりで、わたしが何を期待していたかはわからないが、最初から彼から学んでいると感じていた。俳優として成長する必要があると感じることなどなかった。セットにいる皆を魅了していたよ。集中力は素晴らしく、絶対的な真実味があったんだ」

 タロン自身、コリンとハリーは全く違っていて、演技について「こうしろ」と言ってきたりしないし、自分から聞くまでずっと待っていてくれる、でも聞いたら「こうしたらいいんじゃないかな?」と教えてくれる、と何度となく熱烈に明かしています。コリンのタロンに対する言葉は、まさにそんな彼らしい謙虚さと優しさにあふれていました。

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ハリーがエルトンのコンサートに連れて行きたいのは誰?

『キングスマン:ゴールデン・サークル』

 囚われのエルトン・ジョンの大活躍ぶりも見どころの本作。ハリーとは共に戦い、彼がエルトンに「世界を救えたら、コンサートのチケットを2枚もらえますか?」とおねだりするシーンもありましたが、あれ、ハリーは誰の顔を思い浮かべて「2枚」と言ったのでしょうか? 

 笑いながら質問を聞いていたヴォーン監督は「ハリーは誰を連れて行きたいと思っているか、だって?(笑) いい質問だね。僕が思うに……」と少し悩んでから、「彼はエグジーを連れていかないといけない。そうじゃない? なぜなら全てのことをやり終えた二人は、エルトン・ジョンのライブを見るのに値するからね」と一息に回答。皆さん、やっぱりエグジーでしたよ!

 ちなみにコリンにも同じ質問をぶつけると、間を置かず「(それを知りたければ)第3弾を観ないといけないよ」とさらり。第3弾でハリーとエグジーが一緒にコンサートに行く姿を見られる可能性はなきにしもあらず……? ヴォーン監督は現在、『キングスマン』第3弾およびスピンオフ映画を同時に進めており、「ユニバース全体を創造しようとしているんだ」と意気込んでいました。

映画『キングスマン:ゴールデン・サークル』は公開中

(C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

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