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『ダンケルク』のアナザーストーリー!オスカー候補のゲイリー・オールドマン主演作って?

最新!全米HOTムービー

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
ゲイリー・オールドマンが激変!

 世界の映画産業の中心・アメリカの最新映画情報を現地在住ライターが紹介する「最新!全米HOTムービー」。今回は、アカデミー賞主演男優賞で最有力候補とされているゲイリー・オールドマンが元英国首相ウィンストン・チャーチルを熱演した話題作『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』を豪華なキャスト陣のインタビューを通して紐解いていきたい。(取材・文:細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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『ダンケルク』『英国王のスピーチ』のアナザーストーリー

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』

 外交センスがなく、数々の判断ミスをしてきたネヴィル・チェンバレン首相が退任し、味方であるはずの保守党からも“閣議の和を乱す危険分子”として嫌われていたチャーチルが、首相として政界に返り咲くところから始まる『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』。本作が描くのは、チャーチルが『英国王のスピーチ』のジョージ6世を説得し、英国軍がフランス・ダンケルクに置き去りにされる中でドイツとの和平交渉を避け、ヒトラーを退けるまでの過程だ。つまり『英国王のスピーチ』と『ダンケルク』を英国首相サイドから見つめたアナザーストーリーとも言え、歴史的な観点からも楽しめる映画となっているのだ。

 チャーチルを演じたのは、『シド・アンド・ナンシー』のセックス・ピストルズのベーシスト、シド・ヴィシャス役で名を馳せたゲイリー・オールドマン。その後も『レオン』『ドラキュラ』『不滅の恋/ベートーヴェン』などに出演して世界屈指の名優と評価されてきたものの、アカデミー賞主演男優賞には1度しかノミネートされたことがなく、本作で今度こそ彼が栄光を手にするのではないかと期待されている。

 そんなチャーチルを陰で支えたのが、妻クレメンタイン。『フォー・ウェディング』で注目を浴び、『イングリッシュ・ペイシェント』でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたクリスティン・スコット・トーマスが演じた。フランス人医師と結婚してフランス語も堪能なクリスティンは、フランス映画にも多く参加してきた。クレメンタインが夫のお尻を引っぱたいて鼓舞するような、精神的に強い女性として描かれている点も魅力的。

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
チャーチルとジョージ6世

 『英国王のスピーチ』でコリン・ファースが演じた吃音(きつおん)の国王、ジョージ6世には、『アニマル・キングダム』『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』などのベン・メンデルソーンがふんした。ゲイリー&ベンという名優同士が対峙する緊張感あふれるシーンは間違いなく本作の見どころ。

 そして、チャーチルの秘書エリザベスは『シンデレラ』のリリー・ジェームズが演じた。チャーチルに罵られながらも、自分の意思をはっきり言える女性へと成長していく、誰もが応援したくなるキャラクターで、兄弟がダンケルクにいるという点も役柄に一層の深みを与えている。

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キャスト・監督が語る『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
秘書エリザベスとチャーチル

■ジョー・ライト監督

「ゲイリー・オールドマンがチャーチルを演じるのならば、監督すると言ったんだ。彼にはチャーチルのような緊張感やみなぎるエネルギーがある。だが、ゲイリーとチャーチルは全く似ていない。そんなゲイリーをチャーチルに変身させるために雇ったのが、特殊メイクアーティスト・辻一弘だった。辻とは半年もの間、さまざまな段階を経たメイクアップの下準備をしたから、編集段階でチャーチルの顔にCGを加えることは一切なかった」

「アーカイブ映像でとても面白いチャーチルの姿を見て、映画にもユーモアを十分に取り入れた。チャーチルの閣議などでの発言は、実際の記録を基にしているんだよ。劇中にはチャーチルが地下鉄に乗って一般の人々と話すシーンがあるが、実際に彼が地下鉄に乗ったかは疑わしい。ただ、彼は頻繁に一般の人々と会話をしていたそうで、このシーンは重要なシーンになっている」

■ゲイリー・オールドマン(チャーチル首相役)

「実は3年前に別の作品でチャーチル役をオファーされたことがあった。監督も決まっていなくて、僕にとっても時期的に良くなくて断ったんだ。今作の依頼が来た時もあの時と同じ感覚で断ろうと思っていたが、ジョー・ライトが監督で、『シド・アンド・ナンシー』で共に仕事をしたエリック・フェルナー(プロデューサー)が参加していたということで、脚本、監督、製作者がこの物語を描くのに適していると思って出演を決めた」

「役づくりのために、チャーチルのニュース映像をよく見たよ。彼が政治キャンペーンを行なっていた際に撮影スタッフと話していたごく普通の会話の映像、彼の有名なスピーチの映像、家の中で話していた時の映像を研究し、これら三つの声を使い分けるようにした。毎日4時間かけてメイクし、48日間演じたよ」

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
クレメンタインとチャーチル

■クリスティン・スコット・トーマス(妻クレメンタイン役)

「クレメンタインはチャーチルと結婚する前は、帽子の販売店で働いていて、帽子や衣服などは自分で作っていたそうよ。クレメンタインに関して記された書物はたくさんあり、彼女の孫からも話を聞いた。ただ、写真はそれほど残されておらず、音声も2、3しかなかった。それでも、クレメンタインは興味深い時代に存在した魅力的な女性で、研究するのがとても楽しかったわ。チャーチルもクレメンタインも互いに支え合っていたけれど、とても緊張感のある関係だったとも思う。彼女はウツと診断された時もあったし、チャーチルがお金を使いすぎることに不満だったこともあった。でも長い夫婦関係だったから、楽なことだけではないってことはわたしにも理解できた。ゲイリーは撮影初日から完全にチャーチルに成り切っていて、撮影中は一度もゲイリーに会わなかったわ(笑)」

■ベン・メンデルソーン(ジョージ6世役)

「ジョージ6世は(ジョージ5世の死後に長男エドワード8世が王位を継いだが、離婚歴のある女性との結婚を望み退任したため)思いもしなかった形で王位に就いた。それにチャーチルに対しては、疑念を持っていた。なぜなら、チャーチルはヘマをしてきたからね(ガリポリの戦いなど)。ジョー(監督)が、僕みたいな俳優に国王役を依頼してくれたのは本当に素晴らしいことだった。考えてみてくれ。僕がこれまで演じてきたのは、幼児虐待者、サイコ、麻薬常習者、殺人者だからね。本当にオファーされたことがうれしかった。ゲイリーとの共演は楽だったよ。共演者に対する受け皿が彼にはできているから」

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』

 まだ11月の段階でアカデミー賞の予想をするのもなんだが、ゲイリーはほぼ間違いなくこの映画でアカデミー賞主演男優賞を獲得するだろう。今回の演技だけでなく、これまでの経を考えても十分に値する。現在、本作はアメリカの大手映画批評サイト「ロッテン・トマト」で86%の高評価を得ていて、ゲイリーの演技はもちろん、ライト監督の手腕も冴え渡り、照明、撮影、衣装、メイクアップスタッフの仕事ぶりも素晴らしい。

映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』は2018年3月、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開

(c) Focus Features

【今月のHOTライター】
■細木信宏/Nobuhiro Hosoki
海外での映画製作を決意し渡米。フィルムスクールに通った後、テレビ東京ニューヨーク支局の番組「ニュースモーニングサテライト」のアシスタントとして働く。現在はアメリカのプレスとして活動中。

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