年内公開、本命2大スパイ映画徹底解剖！『007 スペクター』と『コードネーム U.N.C.L.E.』
今週のクローズアップ
今年も残すところ、11月と12月のみとなった。この残り1か月半には、今年のスパイ映画の本命ともいえる2作の公開が控えている。今月14日には、1960年代の人気テレビシリーズ「0011ナポレオン・ソロ」を映画『シャーロック・ホームズ』シリーズのガイ・リッチー監督が新たな視点で映画化した、2人の男子バディ作品『コードネーム U.N.C.L.E.』が、12月にはジェームズ・ボンドでおなじみ「007」シリーズの最新作『007 スペクター』が公開。三者三様のスパイ像を楽しめる二作をご紹介します。
■どこまでも骨太なボンドの少年時代もあぶり出す、過去三作の集大成『007 スペクター』
ダニエル・クレイグが初めてジェームズ・ボンドを演じた『007/カジノ・ロワイヤル』（2006）から約9年、今年12月に公開される本作は、ダニエルにとっては4作目で、ダニエルがボンドを演じるのは最後になるかもしれないともうわさされている。全世界興収でシリーズ最大のヒットとなっている前作『007 スカイフォール』に続いて、サム・メンデス監督がメガホンを取った。
【チーム】
M
ボンドの上司でありMI6（イギリス情報局の秘密情報部）を統率する。 前作「007 スカイフォール」で殉職した旧M（ジュディ・デンチ）の職務を引き継いだ新M役は、『ハリー・ポッター』シリーズでヴォルデモート卿を演じているレイフ・ファインズ。
Q
ボンドに車、拳銃、無線機などの特製ガジェットを提供する秘密兵器開発主任。IT分野の類いまれな才能はボンドからも認められており、時に無理難題を押し付けられることも。前作に引き続き、『追憶と、踊りながら』のベン・ウィショーがQにふんする。
マネーペニー
Mの秘書で、ボンドのミッションをサポートする。 『マンデラ 自由への長い道』のナオミ・ハリスが、前作に引き続きマネーペニーを演じる。
前作のラストでは、ボンドの上司・M（ジュディ・デンチ）が非業の死を迎えファンに大きな衝撃を与えたが、Mは亡くなる前に最後の指令をボンドに遺していた。少年時代を過ごした生家“スカイフォール”で焼け残った写真を受け取ったボンドは、後任のMの制止を振り切り、その写真の謎を解き明かすため単身でメキシコとローマを訪れる。自らの信念に突き動かされるようにボンドは任務にまい進するが、そこで直面する真実とは……。マネーペニーとQが、ボンドのミッションをサポートする。
【美女】
マフィアの未亡人、ルチア
元マフィアの夫を殺された秘密を抱える未亡人で、彼女自身も夫を殺した何者かに命を狙われている。ルチアにふんするのは、イタリアの至宝と称されるモニカ・ベルッチ（51）で、シリーズ史上最年長のボンドガール（本人いわく“ボンドウーマン”）としても話題だ。
ボンドに敵対する殺し屋の娘、マドレーヌ・スワン
『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』でミステリアスな殺し屋を演じたフランス人女優レア・セドゥが、もう一人のボンド・ガールとして登場。ボンドに敵対する謎の組織の一員であるミスター・ホワイトの娘を演じる。
【ガジェット】
劇中に登場する「アストンマーティンDB10」は、ボンド専用車として特別に製作された、完全オリジナルカー。一般に発売されていないこの車は、4.7リットルのV8エンジン搭載で推定最高時速305キロ！ わずか4.7秒で時速100キロまで飛ばせるそうだ。夜のローマの街で繰り広げられる、DB10と、ボンドを執拗に追う殺し屋ヒンクス（デイヴ・バウディスタ）が乗ったジャガーC-X75との怒涛のカーチェイスシーンも必見。
【敵】
タイトルの「スペクター」は、シリーズ2作目から初期6作に登場していた、ボンドの宿敵ブロフェルドが率いる国際犯罪組織名であり、シリーズファンにとっては聞くだけで胸騒ぎのする名前だ。新作では、オスカー俳優クリストフ・ヴァルツが組織スペクターの首領・オーベルハウザーとして登場し、容赦ない攻撃を仕掛ける。ボンドとオーベルハウザーの過去とは……。「スペクター」の名がいよいよ掲げられた本作は、シリーズ過去三作の集大成と言えそうだ。
■魅力正反対の男子バディを、ガイ・リッチー監督がスタイリッシュな映像美で映し出す 『コードネーム U.N.C.L.E.』
本作の舞台は、東西冷戦の最中の1960年代前半。宿敵同士の2大国家アメリカとロシアを代表する、CIAエージェントのナポレオン・ソロとKGBエージェントのイリヤ・クリヤキンが、核兵器で世界破滅をたくらむ凶悪テロ計画を阻止すべく、やむを得ずスパイチームを組む。二人は、組織につながる手掛かりである科学者の娘ギャビーを守り、核兵器の大量生産を阻止すべく奔走する。
【チーム】
ナポレオン・ソロ
元陸軍軍曹にして、世界を股に掛けた大泥棒。 CIAに盗みの才能を買われてスパイに転身したが、さっさと引退したいと思っている。百戦錬磨のプレイボーイで、ミッションターゲットの女性すら口説き落としてしまうソロ役は、『マン・オブ・スティール』でスーパーマンを演じたヘンリー・カヴィル。
イリヤ・クリヤキン
KGBに史上最年少で入り、3年でナンバーワンエージェントになったという実力者。 超真面目で努力家だが、高官だった父親が横領罪で失脚していることにコンプレックスを抱えており、身元などをバカにされるとすぐカッとなってしまう。 女性関係でも、裏切られると傷つくという純情派のクリヤキンを『ローン・レンジャー』のアーミー・ハマーが熱演。
ギャビー
超一流の腕を持つ車の整備士。 科学者である父親が失踪した後、整備士の養父のもとで育ち、現在は整備工場を自ら経営している。 無邪気で気が強く、時に二人を翻弄するギャビーにふんするのは、『アンナ・カレーニナ』などのスウェーデン出身女優アリシア・ヴィキャンデル。
アメリカとロシアが組むことはスパイ史上ありえない禁じ手である上、ソロはプレイボーイ、クリヤキンは堅物という性格は水と油の相性最悪コンビ。何かとぶつかり合う二人のコミカルな掛け合いと粋なジョークは、笑って楽しめる。
【美女】【敵】
敵企業の社長夫人、ヴィクトリア
今回ソロがアプローチをかけるのは、ギャビーの父の行方を捜すために、彼らが接触を図る大企業ヴィンチグエラの社長夫人ヴィクトリア。同企業は、表向きは海運と航空宇宙業の大企業だが、実態はナチスの残党と手を組んでいる国際犯罪組織だ。夫に代わりこの秘密結社を取りまとめている超危険な美女ヴィクトリアに、『華麗なるギャツビー』のエリザベス・デビッキがふんする。
【ガジェット】
1960年代が舞台の本作は、スパイアイテムも金庫破りの作戦も、もちろん昔ながらのもの。「自国の技術の方が先を行っている」と無線機から金網フェンスを切り抜くツールに至るまで、ガジェットを比べ合う二人の姿も親しみやすさたっぷりだ。
リッチー監督がインタビューで「今作は英国というよりはヨーロッパのスパイ映画」と表現している通り、独自の世界観を極めた映像と音楽や1960年代のハイブランドファッションで彩られた本作は、他のスパイ映画に類を見ないスタイリッシュな仕上がりとなっている。
