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ジョン・ウー監督が見た不思議の「TOKYO」

第28回東京国際映画祭

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比類なき感性で「サムライ」のごとく、常に時代を切り開く革新的な映画を世界へ発信し続けてきた映画人の功績を称える第2回“SAMURAI(サムライ)”賞を受賞したジョン・ウー監督。『男たちの挽歌』シリーズなど香港、中国でヒット作を連発しながら、『フェイス/オフ』(1997)、『M:I-2』(2000)などハリウッド大作も手掛け、親日家でもある巨匠が初来日の印象から日本を舞台にした新作、そして故・高倉健さんへのリスペクトまで、日本への愛を大いに語った。(取材・文:イソガイマサト)

ジョン・ウー
ジョン・ウー監督

Q:初来日時の東京の印象をお聞かせください。

1978年か79年に特撮が必要な映画を作ることになったので、特撮の専門会社を訪問するために日本に初めて来ました。映画のプロデューサーの日本人の友人がその晩に接待してくれたときのことをよく覚えています。そのとき初めて知ったんだけど、日本人は一晩に何軒もハシゴするんですね。最初のお店でお刺身を食べ、2軒目に蟹料理の専門店で、次に鶏肉を食べ、これで終わりかと思ったら、今度は橋の下にある屋台でラーメンを食べました。深夜なんですけど、日本人はこんなに手厚く客をもてなすのかと知って、自分も日本人の友人を持とうと思いました(笑)。

Q:そのほかにカルチャー・ギャップを感じたことは?

日本人は読書好きですよね。電車の中でも本を読んでいる人が多いし、出版業界もすごく発達している。香港や中国大陸では携帯はいじっていても、本を読んでいる人は見たことがない。日本人はすごく真面目だし、礼儀正しいと思います。

Q:日本での出会いの中で印象に残っている人物は?

「PLAYBOY」の記者をしていた日本人の友人がいるんだけど、彼には、例えば戦争をしている真っ最中のイラクやカンボジアとか、危ないところほど行きたがる傾向があって。カンボジアでは戦争後に埋められていたたくさんの地雷で現地の多くの子供たちが足を失ったりしたけれど、それを知って心を痛めた彼は、記者の仕事をやめて地雷を撤去する国際組織に参加した。奥さんの反対を振り切って、今、現地で地雷を掘り起こす仕事をしているんです。私には、とてもそんな勇気はないですね。彼は勇気もあるけれど、愛の心がとても強い人だと思います。

Q:日本でお気に入りの、もしくは行ってみたい場所はありますか。

新作映画のプロモーションなどの仕事で来日することが多いので、遊びに行く時間がいつも全くなくて。「京都はいいところ」とは聞いてはいるけれど、いまだに行けてない。でも、東京には数えきれないくらい来ています。それに次の作品は、実は日本で撮るんですよ。

Q:日本のどのあたりで撮るんですか?

日本の西部や南部ですね。大阪とか福岡……九州。大阪から九州に至る途中の、小さな町などでロケをすることになるので、そちらの地域には行く機会があると思います。来年の1月か2月にクランクインしたいと思っていて、TIFFの仕事が終わったらロケハンに行くんです。

Q:日本のどのような風景を求めているのでしょう。

にぎやかな都会も撮りますが、郊外の美しい景色や川、牧場も撮るつもりです。

Q:どんな映画ですか?

高倉健さんが主演した『君よ憤怒の河を渉れ』(1976)の原作小説(西村寿行)の映画化です。実は高倉健さんに関する映画をずっと撮りたかったんです。ただ、私が前の作品をまだ撮り終わらないときに高倉さんが亡くなってしまって。あのとき本当に辛かったけれど、高倉さんに敬意を表する作品を撮りたいという思いはずっと持ち続けていたんです。本当は『駅 STATION』(1981)を撮りたかったんですが、映画会社の方から今回の話をいただいて、これもいいなと思ったので『君よ憤怒の河を渉れ』を撮ることになりました。

Q:『駅 STATION』はどこに惹かれましたか。

愛の部分ですね。倍賞千恵子さんの演じるヒロインは、(高倉健さん演じる主人公に対して)変わらぬ愛を持ち続けている。でも、結局は別れなければいけない、そのやるせなさがとてもいいんです。男の愛や実は弱いところ、柔らかいところも描かれていて、そういうところが好きでした。

Q:高倉健さんの魅力とはどんなところでしょう。

ジョン:高倉さんには、中国古代の武侠の人間のように、寡黙で、冷静で、言葉にはしないけれど、表情で温かい気持ちや責任感などが見てとれる。そこが彼の魅力ですね。中国の始皇帝を暗殺しようとした刺客・荊軻(けいか)を彷彿させるところがありますね。

Q:日本の俳優も出演しますか?

出ます。まだキャストは決まっていないけど、二人の男性と二人の女性が登場する作品で、主役の二人の男性を中国と日本の男優にそれぞれ演じてもらいます。

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