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北朝鮮のサイバー攻撃で話題の『ジ・インタビュー(原題)』とは?現地在住ライターがご紹介

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世界の映画産業の中心・アメリカの最新映画情報を現地在住ライターが紹介する「最新!全米HOTムービー」。今回は、サイバー攻撃騒動で話題の『ジ・インタビュー(原題) / The Interview』、そしてオスカー有力候補の呼び声高い『アメリカン・スナイパー』『フォックスキャッチャー』をご紹介します!(取材・文:明美・トスト/Akemi Tosto)

今、最もHOTな映画はコレ!

『ジ・インタビュー(原題) / The Interview』

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『ジ・インタビュー(原題) / The Interview』
映画『ジ・インタビュー(原題) / The Interview』 - Frazer Harrison / Getty Images

 このコーナーでは全米で話題の作品を取り上げるのが定番だが、今回は異例の公開中止決定後、ますます話題沸騰中の作品をご紹介。ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(以下、SPE)が北朝鮮を風刺した本作が原因で前代未聞のサイバー攻撃を受けているのは皆さんもご存じの通り。筆者は本作が公開中止になる数日前に試写を観ることができたのだが、こんな事態を引き起こした『ジ・インタビュー(原題) / The Interview』というのは一体どんな映画なのか。

 テレビゴシップ番組のおバカ司会者(ジェームズ・フランコ)とプロデューサー(セス・ローゲン)が、風の便りに、北朝鮮の金正恩第1書記が自分たちの番組の大ファンであることを知り、現地・北朝鮮での単独インタビューを申し込む。インタビュー許可が下りて狂喜乱舞中の二人の元にCIAが現れ、金正恩を暗殺せよとの命を下す。初っぱなからドジばかりのおバカコンビは果たして任務を全うできるのか!? というのがざっくりとしたあらすじ。

(以下、完全ネタバレ警報↓↓)

 しかしながら、北朝鮮側としては何をそんなにムカついているのか? 劇中で金正恩の女性側近(よく北朝鮮ニュースに登場する女性キャスターにそっくり! 笑)が、おバカコンビの訪問をきっかけに政府のウソを悟り苦悩。やがてプロデューサーと恋仲になったあと、結局は独裁者から祖国を救うために二人を助けて金正恩をつぶすことになる。そして北朝鮮に残った彼女が何と、民主主義の国家を立ち上げる、というシメで終わる。

ジェームズ・フランコ&セス・ローゲン
映画『ジ・インタビュー(原題)』に主演したジェームズ・フランコ&セス・ローゲン - Dave J Hogan / Getty Images

 この夏、『ジ・インタビュー(原題)』の話を聞き付けた北朝鮮側は、SPEに映画の公開中止を要請したが見事に無視された。だが11月に入りSPEに宛てて「平和の守護者(Guardians of Peace)」と名乗るハッカー集団から、「映画の公開を中止しなければ911並みのテロを起こす」という脅迫状が届いた後、全米主要映画館チェーンが次々と映画の公開中止を決定、ついにSPEは正式に公開中止を決定した。

 冗談の通じない国家をネタに、エグいコメディー映画を作り上げてしまったSPE。映画を観た当方としては、こんなおバカ映画のためにリスクを背負ったSPEはいったい何を証明したくて面倒な道を選んだのか、と疑問に思う。独裁主義に屈しないアメリカ魂を見せつけたかったのかもしれないが、恐らくここまでヒドいことになるとは想像もしていなかったに違いない。

 と、ここまで原稿を書いたところで、急きょSPEが公開中止を撤回、本作の限定公開を決定した。劇場公開においては承諾してくれる劇場のみとのことだが、今このニュースを書いている時点で何と今度は、即時に特設オンラインサイトにてストリーミング公開をスタートすると速報が入った。この記事がアップされるまでにまた新展開があるかもしれないが、「事実は映画(←本来は“小説”)よりも奇なり」とはまさにこのことである。

映画『ジ・インタビュー(原題) / The Interview』の日本公開は未定

次にブレイクする映画はコレ!

『アメリカン・スナイパー』

アメリカン・スナイパー
映画『アメリカン・スナイパー』より - (C) 2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., WV FILMS IV LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC-U.S., CANADA, BAHAMAS & BERMUDA. (C) 2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC-ALL OTHER TERRITORIES.

 ブラッドリー・クーパー主演、クリント・イーストウッド監督でベストセラー手記を映画化した本作。主人公クリス・カイルは、30歳で海軍に志願した遅咲き兵士。卓越した狙撃の腕を買われ特殊部隊に入隊、イラク戦争への配属が決まる。クリスの射殺成功率は前代未聞の記録を打ち立て、反アメリカ軍の間ではクリスの首に大金の報酬が懸けられるようになる。

 仲間から「レジェンド」というニックネームを付けられるまでになるクリスだったが、配属の合間に帰還すると、普通の市民として送る生活と戦地での非現実的ともいえる日常にすさまじいギャップを感じ苦悩する。結婚生活にもヒビが入り始めたそのとき、体のみならず心にも傷を負って帰還した同志たちを見舞い、話を聞いてあげることでクリスは少しずつ自分を取り戻していく。やっと平穏な生活を取り戻したかに見えたクリスとその家族に思いも寄らぬ惨事が降り掛かる……。

アメリカン・スナイパー
ブラッドリー・クーパーとクリント・イーストウッド監督 - (C) 2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., WV FILMS IV LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC-U.S., CANADA, BAHAMAS & BERMUDA. (C) 2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC-ALL OTHER TERRITORIES.

 全米で中近東の戦争から帰還した兵士の自殺者件数は、わかっているだけでも1日平均22人と発表されており、年間数は実に8,000人以上。戦死者の数をはるかに超えている。これに加え、戦争が残した心の後遺症で苦しんでいる帰還兵の数はそれこそ無数である。この映画が迎えるショッキングな最後に劇場中が静まり返り、観客たちが凍り付いてしまったかのようだった。この映画のエンドクレジットには音楽がない。沈黙がこれほどに大きなインパクトを持っていた映画は果たして今までにあっただろうか。

映画『アメリカン・スナイパー』は2015年2月21日より全国公開

ライターイチオシ映画はコレ!

『フォックスキャッチャー』

『フォックスキャッチャー』
映画『フォックスキャッチャー』より - (c) MMXIV FAIR HILL LLC-ALL RIGHTS RESERVED

 世界トップ3クラスのケミカル会社を築き上げたデュポン財閥跡継ぎの一人だったジョン・デュポンと、彼が五輪レスリングチーム設立のために自ら勧誘した1984年のロサンゼルスオリンピック金メダリスト、マーク・シュルツとその兄デイヴのドラマを描いた作品。デュポン家というと大会社としては知られているものの、その家族構成についてまでは一般に知られていない。ましてやこのようなドラマがあったことは知らない人も多く、最後のシーンでは驚きの声を漏らす観客も少なくなかった。

スティーヴ・カレル
ジョン・デュポンにふんしたスティーヴ・カレル - (c) MMXIV FAIR HILL LLC-ALL RIGHTS RESERVED

 主役のジョン・デュポンを演じるスティーヴ・カレルは、これまでの作品歴を見るとコメディー俳優としてのイメージが強い。だがお笑いの中にちらりと光る彼の繊細な演技を目にするにつけ、「この人は、かなりの演技派に違いない」と感じてきた。コメディーの枠のみにとどまらないカレルの非凡な演技力は、この作品で見事に証明されており、デュポンのトレードマークである陰鬱(いんうつ)な猫背の姿勢に始まり、病的に無表情なその顔つき、そしてどこか人間の温かさに欠け、動物が獲物を見据えたような目つきに至るまで、特殊メイクと一体化した異様なまでのそのパフォーマンスは特筆に値する。

 またシュルツ兄弟の弟マークを演じるチャニング・テイタムも、ただのマッチョ&イケメン俳優というレーベルとはかけ離れた演技力を発揮しており、これからがますます楽しみ。助演で光彩を放つマーク・ラファロの力も手伝い、映画賞シーズンたけなわの今、本作がいくつの賞をさらっていくかに熱い視線が注がれている。

映画『フォックスキャッチャー』は2015年2月14日より新宿ピカデリーほか全国公開

【今月のHOTライター】

明美・トスト / Akemi Tosto
高校よりロサンゼルス在住、CMや映画の製作助手を経て現在に至る。全米映画協会(MPAA)公認ライターとしてだけでなく、監督としても活躍中。短編作品『ボクが人間だったとき/When I Was a Human』がアカデミー賞公認配給会社ショーツ・インターナショナルより配給され、iTunesとAmazonで日本版発売中。ツイッターもよろしく!→@akemi_k_tosto

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