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第67回:『ゴーン・ガール』『ホビット 決戦のゆくえ』『ベイマックス』『バンクーバーの朝日』『マップ・トゥ・ザ・スターズ』

今月の5つ星

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今月の5つ星

アカデミー賞有力とうわさされるデヴィッド・フィンチャー監督による失踪サスペンス『ゴーン・ガール』、日本への愛が詰まったロボット・ファンタジー・アニメ『ベイマックス』、そして『ロード・オブ・ザ・リング』の前日譚(たん)シリーズの最終章『ホビット 決戦のゆくえ』など、お正月映画の目玉作品がズラリ!

『ゴーン・ガール』

『ゴーン・ガール』
©2014 Twentieth Century Fox

失踪する妻エイミーの二面性を体現したパイクが圧巻
アメリカの女性作家ギリアン・フリンのベストセラーを、ギリアン本人の脚本と名匠デヴィッド・フィンチャーの監督で映画化したスリラー。失踪する妻エイミーの内に潜んだ二面性を見事に体現した女優ロザムンド・パイクに、心から「あんた、女優賞総なめするんじゃないの!」という称賛を送りたい。振り回される夫ニック役のベン・アフレックのフニャフニャした演技も見もので、突っ込みや同情をしまくる双子の妹マーゴット(キャリー・クーン)との掛け合いは必見。やたら濃厚な濡れ場も「意味、あるのかな?」と思いきや、物語のダークな部分を演出するモチーフとしてきちんと機能しているので納得せざるを得ない。終盤ややたたみかけた印象は否めないものの、サイコスリラーの名作『セブン』を誕生させたフィンチャー監督ならではの「味」を存分に楽しめる逸品だ。(編集部・小松芙未)

映画『ゴーン・ガール』は12月12日より全国公開

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『ホビット 決戦のゆくえ』

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『ホビット 決戦のゆくえ』
©2014 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

監督がファンへの贈り物を詰め込んだ13年にわたる旅の終焉
『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの60年前を描いた『ホビット』シリーズの完結編。一度始まるやラストまで途絶えることなく続く怒濤(どとう)のバトルシーンは、単にビジュアル的なスペクタクルであるだけでなく、それぞれのキャラクターの内面の旅の末路と共に描かれているからこそ一時もダレることなく画面にくぎ付けになる。主人公のビルボは3部作の中で最も原作「ホビットの冒険」のビルボ的で、原作にはないエピソードがあまりにも彼のエッセンスを抽出したものであったため思わず涙。演じるマーティン・フリーマンのうまさも際立っている。超大作であることと、エモーショナルな物語を両立させたことが本当に素晴らしい。2001年公開の『ロード・オブ・ザ・リング』から13年にわたって描いてきた“中つ国”における冒険に幕を下ろすとあって、ピーター・ジャクソン監督は本作にファンへの贈り物をぎゅっと詰め込んでいる。(編集部・市川遥)

映画『ホビット 決戦のゆくえ』は12月13日より全国公開

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『ベイマックス』

『ベイマックス』
©2014 Disney. All Rights Reserved.

「日本へのラブレター」ともいうべき優しい物語に癒やされる
孤独な天才少年ヒロと、人々の体と心を癒やすケアロボット“ベイマックス”の絆を描いたディズニーの新作。アクションあり、子供心を刺激するヒーロー物の展開もありながら、思春期の少年ヒロの心の成長を丁寧に追う。日本とサンフランシスコを融合した架空都市を舞台とした本作は「日本へのラブレター」ともうたわれており、随所に差し込まれた日本要素に、何度も来日しリサーチを重ねたという製作陣の熱意を感じさせる。日本人離れしたビジュアルのキャラクターも多いが、対人関係に悩み過ぎてしまう様子や、何とかしてケアしようとするベイマックスの自己犠牲の精神などは共感を覚える。ベイマックスの思考をつかさどるプログラムディスクの挿入部分が、頭ではなく左胸にあることも日本的。かわいらしいビジュアルとたがわない優しい物語に観ている側もケアされる。(編集部・井本早紀)

映画『ベイマックス』は12月20日より全国公開

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『バンクーバーの朝日』

『バンクーバーの朝日』
©2014「バンクーバーの朝日」製作委員会

国家に翻弄される若者たちの青春に胸を締め付けられる
1900年代初頭のカナダ・バンクーバーに実在した日系人野球チーム「バンクーバー朝日」が、厳しい現実の中で人種間の壁を越えて認められていく姿を描いた実話に基づく感動作。野球だけでなく、歴史、家族、青春という物語の要素一つ一つに強度を持たせ、複雑なそれらをシンプルにまとめ上げる石井裕也監督の手腕には舌を巻く。妻夫木聡をはじめ、亀梨和也勝地涼上地雄輔池松壮亮らチームのメンバーが野球を心から愛する姿に胸を打たれるとともに、ルールを知らずともバントや盗塁などの戦術を駆使した「頭脳野球」にワクワクさせられる野球映画ならではの楽しみも。一方で逃れられない戦争の恐怖も描かれており、現実を受け入れざるを得ない主人公たちの姿には、国家に翻弄(ほんろう)される個人のリアルを見ることができる。そして、その夜明けに「朝日」があると信じて突き進む彼らに訪れる切ない青春時代の終焉(しゅうえん)。これ一本で喜怒哀楽全ての感情を味わうことができる秀逸なドラマになっている。(編集部・吉田唯)

映画『バンクーバーの朝日』は12月20日より全国公開

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『マップ・トゥ・ザ・スターズ』

『マップ・トゥ・ザ・スターズ』
©2014 Starmaps Productions Inc. / Integral Film GmbH

落ちぶれた女優にふんしたムーアの怪演が光るハリウッドの地獄巡り
カナダの鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督が初のアメリカロケを敢行したハリウッド内幕物。リムジン運転手をしていた脚本家ブルース・ワグナーの実体験を基に、落ち目の女優が抱える苦悩と、富も名声も得た一見完璧なセレブ一家の崩壊を交互に描き出す。過去作において、目を背けたくなるような暴力描写を見せつけてきたクローネンバーグだが、本作で強烈な風刺と皮肉を込めて浮き彫りにする現代ハリウッドの姿は、下手な暴力描写よりもはるかに不快で悪夢的だ。ゆがんだ世界に生きる人々にふんした俳優陣も見事なアンサンブルを見せており、中でも落ち目のスター女優を演じたジュリアン・ムーアの演技は圧巻。役を得るために崩れかけの肉体でセックスに興じ、怪しげなセラピーに通い、躁鬱(そううつ)気味に周囲に当たり散らす姿は、本作を象徴するかのような抜群の醜さで、カンヌ国際映画祭女優賞に輝いたのも納得。セレブ一家の兄弟をめぐるある種のおとぎ話的な展開も相まって、バカバカし過ぎて冗談としか思えない世界を垣間見ながら、いつしか自分もそこに取り込まれていくような、地獄巡り気分を味わえる怪作になっている。(編集部・入倉功一)

映画『マップ・トゥ・ザ・スターズ』は12月20日より全国順次公開

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